本日の日経で、25日に上場したJR九州のインサイドストーリーが書かれている。

 

JR九州 意地の上場(1)「夢のまた夢」苦難越え
 

http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20161101&ng=DGKKZO09015130R01C16A1EA1000

 

私自身も福岡出身だし、特にJR九州に恨みもない。先の熊本地震の被害も乗り越え、企業努力によって、上場したことは喜ばしいことだと思っている。

 

一方で、今回、JR九州は大幅なバランスシートの変更を行っている。

 

■経営安定基金は国に返還すべき資金
 

JR九州は経営安定化基金の拠出を受けていた。

啓江安定化基金とはJR北海道、R四国、JR九州のJR3島会社の経営を支えるために設けられた基金であり、国鉄が分割・民営化された際に、JR3島会社に交付されたものである。大都市に路線をもつJR東日本、JR東海、JR西日本とは異なり、不採算の赤字ローカル路線を多く抱える3島会社は鉄道事業で利益を出すのが困難であるため、経営安定基金の運用益で鉄道事業の赤字を穴埋めし、鉄道網を維持している。

 

経営安定基金は国からの事実上の補助金であり、設立当時の基金の額はJR北海道6822億円、JR四国2082億円、JR九州3877億円で総額1兆2781億円だった。

 

従来より、JR各社はこの基金の運用益で事業損失を補てんしている。

それは未上場であれば、その公共性を鑑み、納得するところある。しかし上場するとなると話は違う。この基金はそもそもは税金である。上場審査の論点は、「経営独立した発行体であるか否か」が重要な部分であり。そういった意味では、本来この基金は国に変換して、上場をするのが筋である。

しかしJR九州はそれをせずに、基金の全額4549億円を取り崩して、主に鉄道事業の減損損失5126億円に充当した。

 

当然国が了解していることとはいえ、預かり金で資産を償却したということになる。この基金がなければ上場出来なかったはずである。

 

JR九州は国の100%出資であり、今回の上場で国は全株を売り出した。今回減損することで今後の償却負担などが減り、業績が上がる可脳性もあり想定株価も上がったということなのであろうが、やはり府に落ちない部分が多い。

 

一方で、基金を取り崩したことで、今まで年間100億円以上の運用益をねん出してきた原子がなくなり、従来からの事業で利益を上げていかなければならない。

 

■今後はいかにインバウンド需要を取り込むか

 

今後どのくらいの業績が見込まれるのか?

以下のグラフはセグメントの売上、利益、利益率である。

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どの事業も増収増益であるが、前期初めて不動産事業が鉄道事業の利益額を超えた。

物理的に鉄道路線延長が現実的でない中、今後は不動産事業をいかに伸ばすということであるが、例えば、民間鉄道ではその事業ポートフォリオが光っているのは阪急阪神HDであり、その中のヱンターテイメント事業は、少ない資本で事業価値を高めることを実現している。

 

これは阪神タイガースや宝塚歌劇団という優良なコンテンツを持っているからであり、今後人口が減少していく中で、鉄道会社が恒常的に収益を上げるためには、いかに優良なコンテンツを育成し、そこに多くのお客を鉄道で運ぶかが重要と考えている。

 

JR九州に限って言えば、いかに東アジアのインバウンド観光需要を取り込み、鉄道に乗せ、ホテルに泊まってもらい、駅ビルで買い物をしてもらうかということになろう。

 

引き続き、JR九州の業績に注目していきたい。

 
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