昨日の日経の報道で、自社株買いが過去最高という記事がありました。

自社株買い、最高の4.3兆円 1~9月
新株発行は0.7兆円 成長鈍化で経営効率優先
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20161019&ng=DGKKASGD14H7R_Y6A011C1MM8000

私は以前、キャピタルマーケット(資本市場)部門に在籍し、
主に公募増資のファイナンスに携わってきたわけですが、
新株発行が7000億円とは、部門責任者としては、
非常に悩ましい話でしょう。

一方で、自社株買いが増加しているということは成長投資が見込めないので、
投資家に資金を返還する意味合いもあり、そうすることで、ROEを上昇させる目的もあります。

この背景には、
2014年2月より、日本版スチュアードシップコード、2015年6月よりコーポレートガバナンスコードが適用開始され、機関投資家と発行体が共に「目的を持った対話」(エンゲージメント)を行うことで、中長期的な企業価値及び資本効率の向上と持続的成長を目指すことがあるわけです。

その中で、今日は機関投資家が投資判断するポイントを書きます。

機関投資家には、運用資産の資金属性、規模、自らの運用スタイル等から、
投資が容易、もしくは困難な銘柄が存在します。

投資家の株式に対する需要は様々な要素によって、大きく影響を受けるため、
投資銀行はエクイティ・ディールの提案・実施に対しては、案件実施可能な規模の
分析が極めて重要となります。
 

■リターン(株価の上昇余地)

自らのバリュエーションに基づいて、
目標とするリターンを高い確率で得られると判断される株式が選好されます。
 

■リスク(株価の安定度)

・一般に大きなリターンが期待出来る株は、
株価変動のブレも大きい(ボラティリティー / リスクが大きい)

・株価の変動について安定度の高い株式はディフェンシブ銘柄
(電力・ガス・鉄道等)と呼ばれ、おもに調整局面で選好されます。

・TMTセクター(テレコム / メディア / テクノロジー)が
リスクの大きな銘柄の代表であり、株価上昇局面で選好されます。
 

■流動性(時価総額・取引高)

機関投資家の運用成績は、対象となるベンチマーク(株式市場のインデックス)
と比較して判断されるため、インデックスに採用される大型銘柄が選好されます。
 

運用委託者が、一部の新興市場銘柄や小型株について、
内規で投資を認めないケースも多いです。

特に、ミッドキャップ、スモールキャップの発行体については、売りたいときに売ることが出来ず、運用側としては、極めて悩ましい要因となるため、なかなか取得するのが難しくなるため、結果的に個人投資家比率が多くなります。
 

一方で、時価総額の大きな銘柄は、市場のおける取引高も大きく、株式の売買において、機関投資家が適切と判断する価格と乖離無く、比較的容易に売買を執行出来る点でも選好される一因となっています。
 

よって、IPO / PO あるいはCBオファリング等のエクイティ・ディールの実施においても、対象の株式に対する投資家の潜在的需要は上記他の要因によって影響を受けるため、
投資銀行は実施可能は案件の規模を的確に把握することが重要となります。
 

■ベンチマークについて
.日本株について最も一般的にベンチマークとされるインデックスはTOPIX(海外機関投資家についてはMSCI日本の場合もあり)、パッシブファンドといわれる投資家については、ベンチマークとされるインデックスと同様のリターンの実現を目標としており、インデックスの構成銘柄および比率に近いポートフォリオの形成を目指して株式投資を行います。


一方アクティブファンドといわれる投資家については、自らの投資判断に基づいて、積極的に銘柄選択を行い、ベンチマークを上回るリターンの実現を目標として株式投資を行うものの、インデックスの構成銘柄および構成比率を全く考慮せずにポートフォリオ構成することは稀です。
 

従って東証一部かつ時価総額および売買代金で上位にランクするような株式については、一般的にオファリングに際して、それ以外のJQやマザーズの中小型株式と比較して、機関投資家から比較的安定的な需要を見込むことが出来ます。

そういった意味で流動性は極めて重要です。

引き続き参加者募集中!  Hiroの投資銀行サロン

422932_168605833258406_877093590_n