日経の報道によれば、味の素の2015年4~12月期の連結営業利益は740億円前後と前年同期比約4割増え、同期として過去最高を更新した様です。

アジアを中心に海外の調味料販売が好調で、ブラジルなど現地通貨安による円換算の利益の目減りを跳ね返した他、米国の冷凍食品会社や味の素ゼネラルフーヅ(AGF)の完全子会社化など活発なM&A(合併・買収)による事業再編も利益を押し上げているとか。

 

味の素は、食品メーカーでは売上1兆円を超え、前期の営業利益は745億円なので、今期は既に3Qで前期の営業利益に達したことになります。
 

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前期の業績をもう少し詳しくみましょう。

セグメントは国内食品、海外食品、バイオファイン、医薬、提携事業、その他に分かれますが、国内食品売上が大きく減少する中、海外食品売上がそれを補完しており、買収効果もあって、利益率含め、既に味の素の最大事業となっています。今回の報道では、海外のM&Aが更に売上、利益に寄与するようです。

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セグメント別の事業ポートフォリオを見てみましょう。

ポートフォリオ評価には、野村證券金融工学研究センターが提唱している、エコノミックプロフィット法(EP法)を使います。


Economic Profit 法 (EP法)

EP とは事業活動から得られた利益から,投下資産にかかる資本コスト相当額を差し引いた経済価値である.つまり投資した資本に対して,一定期間(短期間)でどれだけのリターンを生み出したかを事後的に計測する.企業が将来の創出する EP を現在価値に割り引いたものの総和を求める方法である.

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この方法で各セグメントの3期分を比較してみました。


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味の素EPグラフ




このグラフでEPがマイナスのセグメントは投下資本に対する資本コストを吸収しきれていないので、その事業価値を毀損させていることになります。

 

国内食品は買収により、前期比1200億円の投下資本を増加させましたが、利益ベースでも、EPベースでも下落傾向。今後国内食品の効率性が必要と考えられます。

 

一方で為替などの影響もあり、海外食品の採算性が急上昇し、国内食品を超える状況であり、今期もその傾向が強くなったと思われます。
 

バイオ・ファインは業績にばらつきがあり、恒常的な収益力が必要ですね。
 

医薬は投下資本が相対的に小さいため、事業評価としての、優先度は下がります。
 

その他の事業は恒常的にマイナスであり、前期投下資本を増加させて、更にEPが悪化。詳細を確認した上で、投下資本の回収(撤退、事業売却)の判断も必要と考えられます。

 

味の素、引き続き好調を期待しましょう。


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