日経報道によれば、サントリーホールディングス(HD)は13日、米蒸留酒最大手ビーム社を総額160億ドル(約1兆6500億円)で買収することで同社と合意したと発表しました。買収でサントリーHDは世界の蒸留酒メーカーで10位から3位に浮上し、かねて懸案だった蒸留酒事業の巨額買収で、世界の酒類市場でグローバルプレーヤーとしての地位を固めるそうです。 

両社はビーム社の全発行済み株式を、過去3カ月の平均株価を24%上回る1株あたり83.5ドルで買収し。サントリーHDが米国に全額出資で設立済みの特別目的会社がビーム社と6月までに合併、買収を完了するスキームです。 

それでは少しバリュエーションを見てみましょう。本件は24%のプレミアムを乗せた上で、ビーム社の株式時価総額は136億ドルなので、本件は長期有利子負債20億ドル(2012年末)を含んだ金額であり、いわゆる企業価値(EV)としての買収金額が160億ドルということになります。 

まだ2013年12月の数字が出ていないので、あくまで2012年の数字で検証しますが、ビーム社の営業利益は5.75億ドルで、減価償却が1.1億ドルなので、EBITDAは6.85億ドルです。ですから、EV / EBITDA倍率は 160億ドル÷6.85億ドル = 23.3倍となります。通常のM&AのEV / EBITDA倍率は10倍が目安であり、昨年のソフトバンクのスプリント買収12倍程度であったことも考えると相当高い気がします。 

一方でサントリーHDの支払能力ですが、2012年の有価証券報告書を見ると、 EBITDAは1826億円。ネット有利子負債は3687億円でした。これに買収の借入金1兆円が加算されると、NetDebt / EBITDA倍率 = 7.5倍となります。この水準は通常5倍までが安全な範囲であり、やはりかなりの負担になりそうです。ソフトバンクがスプリントを買収した時の、この倍率は3.6倍でした。 

もっとも昨年7月にサントリー食品インターナショナルが上場しており、その後大きく財務内容が変化し、またサントリーの業績も拡大しているので、今の算定よりは改善されているとは思いますが、あくまで本件の買収目線で行くと、やはり高い買い物であると言えると思います。 

一方で、佐治社長もおっしゃっているように、ビール業界の競争は激しく、利益率も低いことから、20%以上の営業利益率を出せる蒸留酒分野を拡大していくことは、サントリーの生い立ちを勘案しても当然でしょうし、買収対象となるのがビーム社程度しかなかったことも買収価格が上がった要因だったと思います。おそらくサントリー食品インターナショナルを上場させたのは、このビーム社の買収を見込んでのことだったのでしょうね。サントリー、これからも頑張ってほしいです。

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