新年あけましておめでとうございます。

今年のもよろしくお願いします。

昨年は54社がIPOしました。今年も70社以上と言われており、更にマーケットも活況になっていくと思われます。

その中で、そもそもIPOの株価はどのように決まっていくのか?という質問が読者の方々やクライアントからコンスタントに来ますので、改めて書いてみたいと思います。

まず、発行体の「IPO時の株価は2つある」とお考えください。

ひとつは、主幹事証券が様々な検討を行った結果としての時価総額(マーケットキャップと言います = 株価レンジ× 株数)。
これをフェアバリュー(fair value)と呼びます。但しこの金額が表に出ることはありません。

もうひとつはIPOディスカウント後の時価総額ですね。
実際の日本のIPO時の株式発行・売出目論見書の証券情報に記載される想定発行価格から始まり、公募価格にいたるまでの株価はこちらが記載されているはずです。
もちろんそんなことは何処にも書かれていませんが。

IPOディスカウントはフェアバリューの20%~30%が多いと思われます。
要は想定時価の20%~30%安で売ってるわけですね。

ではなぜそんなことをするのか?
大きく理由は2つです。

ひとつは投資家からの目線です。客(投資家)は正規の値札では買いづらい。今この値段が正しいのはわかる。
でもそれは言い換えれば「いつ買っても同じ値段」ということであり、今買わなくてもよいと。
その場合、投資家から見たIPOの魅力が薄れ、発行体が考えている株数を消化できない可能性があります。

極論すれば「100円のものを100円で売ってるのでは、芸がない」ということです。
投資家は短期的・長期的に株価上昇が見込めればいいわけで、別にこの銘柄でないとダメな理由はあまりないですから。

もうひとつは、ちょっと違った視点ですが、「情報の連続性」の部分です。既に上場している会社は過去暦年で財務諸表を定期的(四半期毎)に開示しており、その数値の連続性については担保されていると言ってもよいわけですね。

一方で、IPOする会社は今まで財務諸表を開示しておらず、目論見書で過去5年(CPA(監査法人)適正意見付は直近2年)の数値が一度に出てきます。その数値の根拠や連続性に疑義はありませんが、ちょっと引き気味かと(笑) 以前のエフオーアイのようなケースもありましたし。

そして、この情報の連続性によるディスカウントが解消されるのは、次の決算開示(中間・四半期ではない)が行われた時だといわれています。
配当政策も含めて初めて開示財務諸表として2年連続するということですかね。

ここまで書くと、ある程度はお解かりかと思いますが、このフェアバリューとIPOディスカウントのギャップが、公募価格と初値との関係に近いと考えていただければと思います。

となると、理論上は公募価格の20%~30%が初値になるはずですが、なかなかそうは行きません。

ひとつは株式流動性。業界ではオファリング・レシオ(Offering Ratio)といいます。
計算は簡単で(公募株+売出株)/ 本件公募含む発行済株式総数)。
要は発行済み株式数のどの位を市場に放出(公募・売出)すれば、適正に投資家が株を消化できるかという指標のことなのですが。

ここはバリュエーションとは関係ない部分ですが、IPOを成功させるために極めて重要なファクターとなっています。この適正レンジは結果的にIPOの場合、20%プラスマイナス5%が良いディールだといわれています。

このレンジより下だと、株式流動性が乏しく、希少性が高まり、株価がトぶ(初値が公募価格の何倍にもなること)ことになり、上だと株が市場で消化できず、ダブつくため、公募価格を割り込む初値となってしまい、主幹事証券としてはディールコントロール出来なかったことになります。

もうひとつは、マーケット全体のセンチメント(市場全体の心理状況)・モメンタム(勢い・方向性)です。ここ三ヶ月程度の市場全体、ボラティリティ(各業種別の株価指標推移、新興市場の相場の値動きがどうなっているのか、発行体自身の業績がよくても、そもそもマクロの要素(9.11や東日本大震災、アベノミクス等)が大きく投資家の気持ちを変化させることになります。

こうやって、様々なファクターを加味した上で、IPOする。発行体の価格に押し切られて、高い公募価格を設定し、仮に投資家の需要を集められず、公募割れ(初値が公募価格を割り込むこと)となる場合もあるわけですが、同日にいくつものIPOが行われる場合、投資家が分散してしまい、結果として公募割れしてしまう残念な場合もあるようです。

そんな中で、昨年は54社中初値が公開価格を超えたケースが52社、同額が1社、公募割れが1社であり、極めて稀なケースだったと思います。もちろん公募価格の何倍にもなった銘柄もあり、本来主幹事証券が意図するファイナンスではないケースも散見されますが、マーケットが活況を呈していること自体はいいのではないでしょうか?(笑)

今年も70社以上のIPOが見込まれており、面白いディールについてはブログに書いて行きたいと思います。

今年もよろしくお願いいたします。

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