さて、当初の予定通り、サントリーホールディングス(HD)の中核子会社で清涼飲料を手掛けるサントリー食品インターナショナルが29日、東京証券取引所から新規上場の承認を受けました。上場予定日は7月3日です。市場からの資金調達額はグループで4700億円程度と今年最大となり、アジアなど海外M&A(合併・買収)を加速するとか。久々の大型上場で市場活性化への期待も大きいとのことですね。



この案件は昨年12月、今年4月に報道された時にも、一旦バリュエーションしましたが、マーケット環境が変わってきており、再度検証してみたいと思います。



発行体の昨年12月期の売上は9,921億円(前年比111%)、経常利益540億円(同97%)であり、サントリーグループ売上の53%、経常利益の約52%とグループ全体の約半数を占めます。更にサントリー食品インターナショナルはその飲料・食品セグメントの大半を占めグループの中核会社の位置付けとなり、「伊右衛門」、「BOSS」、「サントリーウーロン茶」、「ペプシNEX」などおなじみのブランドを持っています。



今回のファイナンスは想定発行価格が3800円で、国内公募が3350万株、国内売出が2600万株で、野村、三菱UFJモルガンスタンレーが共同主幹事、グローバルオファリングの公募が5950万株で、ブックランナーはモルガンスタンレー、野村となっております。他にアオーバーアロットメントで620万株。総額4712億円のファイナンスで日本航空の再上場に匹敵する規模となります。



では、バリュエーションを見てみましょう。上場後の発行済株式数は309千株なので、株式時価総額は1兆1742億円となります。予想PERの目線ですが、今期の業績見込みは1兆1300億円(前期比13%増)、経常利益690億円(同27.7%増)税引き後純利益は350億円(同150.2%増)です。ですから予想PERは1兆1742億円÷350億円
= 33.5倍ですね。

業界をどこで見るかですがキリン、アサヒ、サッポロは酒類・清涼飲料にまたがっていますが、本件は清涼飲料業界を見て行きます。5月29日付で予想PERはキリン18.5倍、アサヒ18.4倍、サッポロ28.1倍、伊藤園20.0倍、など時価総額1000億円以上の企業9社の予想平均PERは23.7倍でした。



それを考えるとかなりサントリ―の33.5倍はかなり高い気もしますが、いかがでしょう?



なお、以前よりサントリーホールディングスのセグメント開示でサントリー食品の業績も開示されているので、本件ではIPOディスカウントはないと考えています。



一方でファイナンスですが、OA含むファイナンス額がオファリングレシオ(公募数÷公募含む発行済株式数)は124千株÷309千株
=40.1%と、ファイナンスの目安である20%~25%を上回りますが、ネームが強いのとマーケット環境が良いので、売りさばくのにはおそらく苦労しないでしょう。



また、今回、発行体はサントリーホールディングスの子会社となり、更にサントリーモールディングスの親会社である寿不動産の孫会社となります。



従来より東証は「子会社上場は望ましくない」とのコメントを出しながらも、現状各市場の新規上場規則で財規上連結子会社の上場が認められている以上は、規則に則っている限り、上場したいと言っているのを断ることは出来ません。



今後の課題は、上場後も過半数の株式保有となる未上場の持ち株会社であるサントリーホールディングスの90%を株式保有する寿不動産と、直接の親会社となるサントリーホールディングスと上場するサントリー食品インターナショナルとのコーポレートガバナンスの兼ね合いになると思われます。



上場承認されるということは、ガバナンスは適性であると認められており、また、保有比率は最初から開示されているのですから、嫌なら投資家はその株を買わなければいいわけです。本件は寿不動産を開示するか否かに興味が惹かれましたが、結果的には発行体とは取引がないことから、寿不動産の開示は行っておりません。



いずれにしろ、子会社とは言え上場を決意したことは大きな意思決定だと思います。これからのサントリーに頑張って欲しいです。

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