日本ペイントは21日、シンガポールの塗料大手ウットラムグループからTOB(株式公開買い付け)の提案を受けたと発表しました。ウットラムは日本ペイントに14.5%を出資する筆頭株主で、事業拡大をにらみ出資比率を約45%まで高めたいとしており、事実上の買収提案となります。

塗料分野で世界5位の企業連合づくりの是非を慎重に見極める構えのウットラムは香港子会社のニプシー・インターナショナルを通じ、日本ペイント株を1株900円で8000万株を上限に買い付けを目指すとか。取得総額は最大720億円で、21日終値809円を11%上回ります。

日本ペイントは2012年3月期の売上高2222億円、経常利益201億円、昨日付の株式時価総額は2147億円でした。また予想PER13.4倍、PBR1.58倍、予想EV / EBITDA倍率が7.1倍です。
今回ウットラムは900円のTOB価格はすでに22日9:22に915円の高値をつけ、突き抜けています。

日本ペイントは平成22年に今年の株主総会までを期限とした買収防衛策を導入しており、今回はそれに則った対応となります。

またウットラムも日本ペイントに対する買収防衛策の遵守表明を提出しており、現段階では、敵対的買収ではないようですね。

買収防衛策、久しぶりに脚光を浴びました。
日本ペイントでは、買収防衛策の買い付けルールを遵守している限り、反対意向表明を提示する可能性はゼロではないものの、原則、対抗措置は行わないとしています。

では、対抗措置を行う場合とはどのような場合なのか?

① 経営に参加する意思がないにもかかわらず、ただ株価を吊り上げて高値で株式を当社又は当社関係者に引き取らせる目的で当社株式の買収を行っているグリーンメーラー

② 経営を一時的に支配して当社の事業経営上必要な知的財産権、ノウハウ、企業秘密情報、取引先や顧客等を自社に移譲させる目的の買収

 ③ 経営を支配した後に、当社の資産を債務の担保や弁済原資として流用する場合

④ 事業に当面関係していない不動産、有価証券等を売却し、一時的な高配当、株価の急上昇の機会を狙って株式の高価売り抜けをする目的の場合 

⑤ 前記①から④のほか、大規模買付者が真摯に合理的な経営をめざすものではなく、大規模買付者による支配権取得が当社に回復しがたい損害をもたらすと判断される場合 

⑥ 大規模買付者の提案する当社株式の買付方法が、強圧的二段階買収を行い、事実上、株主に株式の売却を強要するおそれがあると判断される場合
 
 当然対抗措置を行う前に独立委員会に諮ることになりますが、現段階ではあくまで事業シナジーの提案ですが、今後のウットラムの提案によってはどうなるかわかりません。

では、対抗措置とは具体的には何なのか?

これは、日本ペイントによる既存株主に対する新株予約権の無償割当なのですが、現在ウットラムは14%超の筆頭株主であり、日本ペイントは割り当てることは出来ませんし、後は5%程度の機関投資家が数社いるだけなので、あまり意味がありません。

尤もウットラムも当然そこまで読んでTOBをかけているわけで、本件に限って言えば、あまり買収防衛策が効果的とは思えません。一方で日本ペイントも買収防衛策導入時にはウットラムは大株主でなかったため、状況によっては、別の施策も考える必要があると思われます。

但し、如何せんTOB価格が低すぎるでしょう。今後ウットラムがどう出て来るのか期待したいと思います。

また、昨年来株価が上昇して来ており、今回みたいな買収提案が出て来るとなると、今年の各社の株主総会は一時沈静した買収防衛策の導入が再び増加するかもしれませんね。

引き続き参加者募集中! Hiroの投資銀行サロン