ソフトバンクは今月1日に完全子会社化したイー・アクセスの議決権株の約67%を月内に売却する方針を固めたそうです。イー・アクセスに出資する海外メーカーはサムスン、エリクソン、ノキア・シーメンス・ネットワークスなどで、ソフトバンクはイー・アクセス株式を議決権のある株と無い株に分け、議決権株を11社に約6%ずつ売却し、売却総額は数十億円規模となる見通しとか。
結果として、ソフトバンクのイー・アクセスへの議決権株ベースの出資比率は3分の1未満の約33%に下がることになります。

これをどう考えるか?

2009年に総務省がソフトバンクとイー・アクセスに携帯電話の電波を割り当てた際、3分の1以上の出資関係にある企業は同時に申請できない指針を設けていました。
電波取得後の出資に規制はありませんが、ソフトバンクは指針に沿う必要があると判断したようです。
但し、そんなことはノーアクションレター(監督官庁への事前打診に対する回答書)を行うことまでもなく、KDDIも含め最初から想定しているわけで、今回のイーアクセス株式の早期売却はある程度最初から構想されていたと思われます。

ソフトバンクはもともとイー・アクセスを完全子会社化したかったわけではなく、電波だけ借りられればよかった。
イー・アクセスが昨年3月からLTEを始めた1.7ギガヘルツ帯は、アップルが世界標準の電波に指定しており、電波不足に悩むソフトバンクは、当初、イー・アクセスに賃借料を支払い、1.7ギガヘルツ帯の電波を借りようとしていました。
それがKDDIに取られては、取り返しの付かないことになってしまうと思い、それなりの値段で買収したということなのでしょうね。

ソフトバンク、イー・アクセス買収を10分でバリュエーションしてみる ~買収価格は許容範囲内~

それでも、2200億円で完全子会社化し、議決権株と無議決権株に分けた後、3分の2以上の議決権株の譲渡価格が数十億円とは、一体どういうことなのか?

このような短期間で、イーアクセスの企業価値が極端に変わることはないので、ということは、無議決権株の価値が90%以上ということになります。そうでないと、ソフトバンクはイーアクセス株を減損しなければなりません。こんな資本政策の組み立てが可能なのでしょうか?
少なくとも私は見たことがありません。

会社法で明記されている種類株を一般論で大きくグルーピングしてみましょう。

一つは配当を優先して受ける権利、残余財産の分配を優先して受ける権利を持つ、配当、資産分配に関する種類株です。

二つ目は株主が発行体に対して株式の取得を請求したり、若しくは発行体が株主から株式を取得出来る権利を持った、株式を強制的に買取る種類株。

それ以外には、ある議題に対しては拒否権を有したり、役員を選解任出来る等、個別事由にのみ議決権を有する種類株がありますが、今回の無議決権株の範疇に入るかは微妙です。

そもそも株式の価値とは何に起因するのか?
私は大きくは経営監督権と財産分与権の二つだと理解しています。
この二つの価値をどのように配分、分離していくかで、各株式の価値が変わって行く。

種類株で多く見られるのは、再生案件で銀行等のスポンサーが取得するのは財産分与が優先される種類株で、ベンチャーキャピタルなどが取得するのは、株式を強制的に買い取らせる種類株や、役員選解任出来る種類株が多いですね。

それでも企業価値の90%以上を占めるイーアクセスの無議決権株式の中身とは何なのか?非常に気になるところです。

この無議決権株式の内容がわかった時、この一連のディールに対するソフトバンクの本当の目的がわかるのでしょうね。

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