日経によると、後発薬各社が相次ぎ東南アジア市場を開拓するそうです。富士製薬工業は20億円を投じタイに注射剤の工場棟を新設し、年産能力を6割高め、高田製薬はインドネシア向け輸出に乗り出すとか。日本市場は海外の後発薬大手が進出し、今後競争が激化する見通しで、日本企業は強みの品質管理などの技術を生かし、新市場の開拓を進めるそうです。
ちょっとデータが古いのですが、日本市場の後発医薬品市場を見てみます。厚生労働省によると、2009年の後発医薬品市場規模は4,429億円でした。5年間での年平均成長率は9.1%と市場は急速に拡大しており、要因としては、医薬品市場全体の拡大、医薬品市場に対する後発医薬品の割合の上昇の2点です。

医薬品市場は高齢化を背景に上昇傾向であり、2010年まで10年間の市場の年平均成長率は0.9%で、市場が緩やかに上昇しています。
さらに後発医薬品の普及率も上昇しており、1999年に10.8%であった普及率(数量ベース)は2010年には23.0%に上昇しました。また2012年に普及率は30%まで上昇すると見込まれています。

国内市場は、市場の拡大に伴い先発医薬品業界や外資系などが多数参入しているものの、基本的には専業プレイヤーが中心の構造となっています。上場企業では、日医工、沢井製薬、東和薬品の3強に続き、今回の富士製薬工業が大手で、その他にもイスラエルのテバが買収した旧大洋薬品工業をベースとするテバ製薬も有力でした。なお、新薬メーカーでも第一三共や武田薬品工業が子会社で展開するなど競合激化の情勢でした。

その中での富士製薬は20億円投じてタイに工場を建設するそうですが、
最近良く聞くのは、新興国のジェネリックメーカーを買収したいというニーズです。

そうすると思い出されるのは、2008年に第一三共がインドの後発医薬品大手であるランバクシーを買収した案件です。
あれは2008年6月に子会社化のプレスがリリースされ、2008年8月にTOB、株式譲渡含めて総額5000億円の案件でした。

買取価格は31.3%のプレミアムで、ランバクシーの63.9%を取得したわけですが、インド製薬大手のEBITDAマルチプル平均である12.2倍に対して、TOB価格は29.7倍であり、バリュエーション上はかなり高い 水準でした。

そしてTOB期間中の2008年9月に、米国FDAがランバクシーの2つの工場で、抗生物質の取り扱いや製造器具の 洗浄状況、生産管理、品質管理などに関する記録の保存に関して問題が改善されていないため、医 薬品30種以上の輸入を一時停止するという事態に発展しています。
これは、当時買収検討する際のデユーデリジェンスが甘かったのではとの指摘もありました。

その結果として、第一三共は買収年度に約3500億円ののれんの減損計上
することになってしまいました。もっとも、今はランバクシーも業績は戻しており、3Q売上で前年比53%増となってはいますが。いずれにしろ、第一三共はクロスボーダーM&Aのリスクを十分感じたと思います。

そうは言っても、特に製薬ではグローバル化が顕著であり、今後事業を伸ばして行く中で、独資、合弁、買収等フォーメーションの差はあれど、外資との交渉は不可欠になって行きます。

ぜひデユーデリジェンスには十分ご注意を。

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