正直、まだスティールがアデランスの株を売らずに27%持っているとは知りませんでした。

今朝の日経で、アデランスの2012年3~11月期の連結営業利益は前年同期の2.7倍の30億円弱になったようです。テレビCMなど宣伝広告が奏功し、60~70歳代の顧客を中心に女性向けオーダーメードかつら販売が伸びたとか。
 売上高は7%増の370億円程度だった模様で、人工の毛を地毛に編み込む男性向けの部分増毛も、宣伝広告の効果で30~40歳代の新規顧客が増えた。男性向けのオーダーメードかつらも新商品の投入で好調だったそうです。

 実はかつらの出荷額はかなり小さく、2010年に12.3億円で、直近10年間の年平均成長率は-10.5%で長期的に低下している市場です
 一方で、2011年の毛髪業国内市場規模は、1,330億円の見込みであり、直近では震災の影響などから本格回復には至っていないものの、新しい技術が開発されている植毛市場は拡大しています。
 
 少子高齢化が追い風となる数少ない産業であり、今後の成長が期待されますが、消費者センターへの相談件数が非常に多いなど、顧客の注文や苦情が多い業界でもあり、不透明な価格体系を排したり、効果・効能について適切に伝えたりするなど、苦情を減らす努力を業界全体で継続していくことが必要とされている業界ではあります。

 アデランスは、2009年にユニゾン・キャピタルとスティール・パートナーズのファンドによる経営権の争奪戦が起き、株主総会でスティール・パートナーズ側が勝ち、スティールの主導のもとでの経営再建に合意しました。
その後、同一グループであった、アデランス・フォンテーヌを統合し、ユニヘアーと社名を変更し再スタートしましたが、新社名が世間一般に浸透しなかったことや、業績低迷からの脱出を図る観点などから、2011年7月に元々の社名であるアデランスに戻しています。その後もゴルフ場・美容サロン事業など本業以外の事業を大幅に整理し、大幅赤字を計上しましたが、ようやく改善効果が出て来たと言うところでしょうか?

大幅な利益減少に伴う経営責任を問うスティールと経営陣との対峙は2008年から2009年にかけて2年続き、2008年にスティールが勝ったにも関わらず、役員はスティールの意向を聞きませんでした。その結果、更に大赤字を出し、翌年、続けて退任を迫るスティールに対し、ユニゾンキャピタルがホワイトナイトとして、今はローソンの副社長である玉塚氏を立てましたが、やはりスティールが勝ちました。

当時、ユニゾンもTOB価格が低かったとの指摘はあるようですが、
いずれにしろ、当時の事態を招いたのはそもそもが業績不信に対する手当てが出来なかったことに尽きると考えており、それは紛れもなく経営責任です。そしてその責任を株主が問うただけの話であり、相手がスティールだから、ホワイトナイトを立てて感情論に矛先を向けたアデランスは、当時「ちょっと筋が違う」という印象受けました。

そして3年後の今、ようやくアデランスは息を吹き返して来ました。
そこには当然リストラあったでしょうし、スティールの厳しいモニタリングもあったでしょう。

先日のルネサスに対するKKR、産業革新機構の話ではないですが、
プライベートエクイティかアクティビストファンドかの違いはあるにせよ、外資ファンドを必要以上に警戒するのは止めにしませんか?

資本主義には良いも悪いもない。
企業価値を上げられるか否か。これだけ。

改めてこんな当たり前のことを反芻した今朝でした。

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