さて先日、産業革新機構がルネサスエレクトロニクスの再建案がまとまりました。今回の第三者割当増資で、産業革新機構は1383億5000万円を出資します。出資比率は69.16%となり、ルネサスの議決権の3分の2以上を保有することになります。また、総額116億5000万円(内訳:トヨタ自動車50億円、日産自動車30億円、ケーヒン10億円、デンソー10億円、キヤノン5億円、ニコン5億円、パナソニック5億円、安川電機1億5000万円)を出資する顧客企業8社のコンソーシアムの出資比率は5.82%になります。

個人的には、今回のルネサスの再建に経産省の指示を得て産業革新機構が出資したことに大きな疑問を感じます。

本件は当初よりKKRが参加して1000億円の出資で再建して行く方向でまとまりかけていました。ところがKKRによるルネサス再建後、中国に売却してしまうのではないかとの懸念によりトヨタが騒ぎ出したのが発端らしく、それにより経産省が産業革新機構に働きかけた構図です。

そもそも、ルネサスがこのような事態に陥っているのはなぜなのか?
ルネサスにはマイコン事業とシステムLSI事業があるわけですが、自動車メーカーが顧客であるマイコン事業はまだ利益が出ているにしても、商材交渉の中で、ルネサスが確保すべ
き利益を吸い上げていたのはトヨタ以下、発注メーカーです。だからルネサスは死に体になっっているわけです。トヨタや他の発注メーカーが本当にルネサスを守りたいと思うのであれば、自分達がルネサスをを買収して子会社化すればいい。そうすればもっと利益が出るはずです。でも、KKRが出て来るまでそれをしなかったのは、ルネサスの事業が儲からないのを分かってい
るからです。

ではトヨタや他の発注メーカーはいけないことをしていたのか?
そんなことはありません。顧客との相対交渉は自社のメリットを優先されるのが当然であり、ルネサスがその価格で取引していた以上、発注メーカーには何の問題もありません。
それが今回、発注メーカーが出資することで、ルネサスの再建に商材の価格引き上げが含まれるとなると発注メーカーにとっては、明らかに利益相反になってしまいます。その方が余程問題でしょう。だから再生案件にはトレードオフの相手を巻き込むのは反対です。出資比率が少ないからこそ、産業革新機構の言いなりになってしまい、出資はそれこそ意味のないものになってしまう、

企業再建は、民間が手を挙げている以上、自らのリスクでやらせてみればいい。民間が出来ない時にだけ国が関与するという考え方は大事です。

ではKKRに買収されて、仮に他の国のメーカーに売却されてしまったらどうか? その様な例はたくさんあります。三洋電機の家電部門、エルピーダメモリ、ラオックス、レナウン。エルピーダはこれからですが、その方が業績が向上する場合もあるでしょう。
映画「ハゲタカ」ではないですが、外資に買収されたら国内産業が空洞化してしまうので、日本企業を守ろうという情緒的な話は、そろそろやめにしませんか?

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