先日、日立製作所は子会社である日立金属と日立電線が2013年4月に合併すると発表しました。グループ懸案事項であった電線の立て直しを目的としたものであり、構造改革の総仕上げの一つであるとか。

この日立、事業セグメントが11、連結子会社が920社、持分法適用会社が219社あり、グループ全体がひとつのファンドみたいなものです。

実は5、6年前までは業績も冴えず、
日立製作所の株式時価総額が上場連結子会社の持分の株式時価総額を下回る状況となっており、コンサルや投資銀行業界では何か提案してもなかなか響かないので「食えない会社」と言われていました。

では何故今この日立の業績が安定しているのか、構造改革が上手くいったのかについては、専門分野方々がいろいろなところで書かれているので、今日はその話はしません。

 

今回はこの11ある事業セグメントを評価してみましょう。

日立金属と日立電線は共に「高機能材料」セグメントです。

当然のことながら各セグメントで一定水準の財務数値の開示が行われており、

概ねの事業セグメント評価が可能です。

 

事業評価の指標はEVA(Economic Value Added 経済的付加価値)を使います。これは企業が生み出した付加価値から株主と債権者に対する資本コストを控除後、会社がどのくらい付加価値を創出したかを測る指標です

 

使う数値は

NOPAT(税引き後営業利益)=事業利益(営業利益+受取利息配当金+持分法投資損益+負のれん償却額)-課税所得(営業利益+受取利息配当金+のれん償却額)×実効税率

・投下資本=流動資産+固定資産-流動負債+短期借入金-負ののれん

・WACC(加重平均資本コスト)=4.25%で固定します。(株式・負債は2012/3期末日数値、βは期末日基準の3年次、マーケットリスクプレミアムは決算月から遡って過去40年を抽出)

 

算定方法は

EVA = NOPAT-投下資本×WACC

   = 投下資本×(NOPAT÷投下資本-WACC)

      NOPAT÷投下資本はROICのことなので、

   = 投下資本×(ROIC-WACC)

となります。

 

当然ですが、WACCがROICを上回っていないと、EVAはマイナスになるので、

事業価値を毀損していることになります。

 

それで、日立の各セグメントのEVAを出してみました。セグメント開示数値で不明な項目である受取配当金、持分法投資損益はセグメント売上按分、投下資本はセグメント資産按分としました



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今回は日立電線の立て直しということでしたが、今年の3月までは高機能材料セグメントは比較的健闘している方でしょうか?稼ぎ頭は情報通信システムですが、コンポーネントデバイスも少ない投下資本でEVAを稼いでいます。

一方で、金融サービスはリース資産、ローン債権が巨額ですが他事業売り上げを支えていると考えられ、社内的な仕切りレートを考慮する必要があるかもしれません。電力システムは震災以外に海外の火力発電案件も影響しているようです。デジタルメディア・民生機器はほかのメーカーと事業は変わらないでしょう。それでも日立は2012/3期は全社的にはEVAはプラスでした。

 

パナソニックやソニーでもこれを作りましたが、日立より、より先鋭的なマップとなりました

一部の総合電機は昨今業績悪化の結果、資産の減損処理や繰延税金資産の取崩しを迫られ、巨額の赤字を計上、喫緊の事業の立て直しを迫られています。

経営としては当然ながら商売の損益だけを見るのではなく、巨額の投資、買収の効果が出てこない場合、最終的には資産の減損計上となってしまうため、常にEVAを念頭に置いた経営が求められますね。頑張って欲しいです。

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