私自身は一介の「ファイナンス野郎」に過ぎないが、それでも昔から人をみる目はそれなりにあるとは思っている。

田端信太郎氏。今を時めくLINEを運営するNHN JAPANの広告事業責任者だが、純粋に田端信太郎個人が好きであり、その彼が今回「MEDIA MAKERS」をいう本を出版したので、感想を書くだけの話だ。

 MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体 / 田端信太郎

 

彼は冒頭メディアとファイナンスの特殊な共通点として「実体がない」「対象への信頼」といい、だから「実力とハッタリ」の線引きが難しいと書いている。そしてメディアの実力となり得るものは「予言の自己実現能力」だという。なるほど、確かにIPOする時の株価でも、EPSから勘案すれば、おおよそ考えられないバリュエーションで登場する銘柄が時々ある。それが登場した時のGoogleでfacebookだった。ここでどちらが「予言の自己実現能力」があったかは書かないが。

 

思えば彼との出会いは2年半ほど前になる。彼が当時のライブドアを退職して、「VOUGE」などを発刊しているコンデナスト・ジャパンに転職する時だった。Twitterで金融クラスタの人気者だった彼の転職祝いをやろうと、レオス・キャピタルワークスの藤野英人さんが音頭をとって、恵比寿で飲んだのが初めての出会いだった。彼はまだやんちゃっぽさ残っていた印象がある。そこには「起業のファイナンス」でおなじみの磯崎哲也さんや、日銀施策に詳しい本石町さん等も参加されており、とても楽しい会だった。

 

そして昨年の今頃、電子書籍のキャズムの議論が出てきていくつか検索していたら、彼のこのブログにたどりついた
台北・Eslite 誠品書店に「書店」が進むべき未来を見た。 

このブログは本屋に対する愛情で満ち溢れており、愛するが故の叱咤激励、言うなれば原監督のジャイアンツ愛ならぬ本屋愛と言おうか、それほどまでに時代の流れとともに消えようとしている街角の本屋に対する想いを、敢えて客観的に淡々とクールにまとめたそのキレッキレの文章に感動を覚えたのである。

 

それきっかけに母校であるグロービス経営大学院のアルムナイで、私は彼に合計3回ほどメディアについて語ってもらった。多くの反響があり、それ以来の付き合いである。

 

そして思う。彼自身がメディアとファイナンスの共通点を具現化していると。

彼自身が実体がない世界を自ら才能でフローとストック、参加性と権威性、リニアとノンリニアを使い分け、対象(田端信太郎氏)への信頼を拡大しているのだ。出会ってからのこの2年半で彼はメディアベンチャーとして急成長を遂げ、書籍を発刊し、アマゾンランキング入りするなど、まさに田端氏個人がIPOしたような勢いである。まさにメディアはファイナンスであり、ファイナンスはメディアなのだ。そんな田端信太郎という成長株をアーリーステージからカバレッジして来た自分も10時間くらい続けて平気でバリュエーション出来る、ある意味「ファイナンス野郎」だ。

 

彼のブログを初めて読んだ時の「信頼」を信じて良かったと思う。お金よりも大事なのは「信頼」だ。そしてこれは堀江さんが書いた「打ち出の小槌」と同じ話なのだ。

 

たまたま、ここ1週間で田端氏の「MEDIA MAKERS」、クリス・アンダーソン「MAKERS」、リンダ・グラットン「WORK SHIFT」、岡田斗司夫「評価経済社会」(再読)を読んだ。

共通しているのは近未来での社会と個人の関わり方であり、個人を如何に社会に対して価値のあるものにしていくのかを課題設定している。そして解決策のキーワードは「一番やりたいことを愚直にやる」ということなんだと思う。

 

イノベーションの結果、幸いにも我々は昔に比べれば比較にならないほどコストがかからずに、製品の開発も情報の発信を行うことが出来るようになった。これからの10年は実は個人にとって一番エキサイティングな10年になると信じている。


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