昨日報道の通り、国内携帯電話3位のソフトバンクは1日、同4位のイー・アクセスを買収すると発表しました。株式交換方式で全株式を取得し、来年2月末に完全子会社化します。買収額は1800億円超になる見通しです。買収後は携帯電話契約数で2位のKDDIに迫り、首位のNTTドコモを追撃します。ソフトバンクは株式交換に向けて新株発行を予定しており、イー・アクセスの普通株式を1株当たり先週末終値比3倍強の52,000円と算定し、イー・アクセス株1株に対しソフトバンク株16.74株を割り当てます。イー・アクセスは2月25日付で上場廃止になる予定とか。 



さて、戦略論は昨日からいろいろな方がコメントをされており、お任せするとして、「時価総額の3倍で買収」だけがひとり歩きしており、これが本当に高い買い物なのか、ざっくり10分でバリュエーションしてみます。 



先ず、ローンチ前の9月28日のイー・アクセスの株価終値は15,070円で、株式時価総額は約522億円でした。これをソフトバンクは1株52,000円で取得するので、1株52,000円×3,465,180株(発行済株式数)= 約 1,801億円で株式を買収することになります。またイー・アクセスの直近1Q開示の数値を参照すると、有利子負債は1,951億円、現預金は375億円です。



ということは、



企業価値(EV)= 株式1,801億円 + 有利子負債1,951億円 - 375億円 = 3,377億円ですね。で、イー・アクセスの今期の予想EBITDA(営業利益+償却)は641億円です。



 M&Aの指標であるEBITDAマルチプル(EV / EBITDA)= 3,377億円 ÷ 641億円 = 5.27倍。
M&Aマルチプルの買収の目安が3倍~5倍が許容範囲内であることを考えると、それほど高いと言う印象は持ちませんが、いかがでしょうか?



戦略上どうしても欲しいリソースであり、しかも競合に買収されたら致命的になり得る案件だとしたら、
十分買収に値する案件だと思います。
 



イー・アクセスは直近株価でも、予想PER3.8倍、PBR0.76倍でした。
一方でドコモ予想PER9.9倍、PBR1.08倍、KDDI予想PER10.87倍、PBR1.31倍を勘案すると(ソフトバンクは業績予想非開示)、イー・アクセスはデザリングで劣勢に追い込まれたとは言え、株価が相対的に割安感があったことを上手く使い、ソフトバンクはイー・アクセスをEBITDAマルチプルでは十分許容される水準で買収出来たことはかなりメリットのあるディールだったと思います。 



これからのソフトバンクに更なる期待をしたいと思います。


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