昨日、ライフネット生命が東証マザーズに上場承認されました。



この会社については出版物も多いのでご存知の方も多いと思いますが、ライフネット社は2006年に設立され、出口社長と岩瀬副社長が二人三脚で経営を進めらて来られたインターネット直販生命保険会社です。立ち上げの時の100億円資金調達も話題になりました。



 私も1年半ほど前に麹町のオフィスに伺い、出口社長とお話をさせていただいたことがあります。その頃はようやくキャッシュ・フローが軌道に乗り始めた頃で、今後の事業のお話をいろいろとお聞きすることが出来ました。 



それでは、ライフネット生命をファイナンスの観点で少し見ていきたいと思います。
先ずはサイズですが主幹事は野村証券。目論見書の想定発行価格は1200円で、今回公募数を含めた株式時価総額は505億円となります。



株式時価総額だけでいけば直接東証一部に上場出来るのですが、現状赤字なのでマザーズとなりました。公募株数は834万株で約100億円、売出しはベンチャーキャピタル中心に243万株で約29億円、別途オーバーアロットメント160万株で19億円の、合計148億円のディールになり、IPOとしてはそこそこ大きめの規模になります。



次に株式流動性ですが、株式時価総額の何%をマーケットに放出するかというオファリングレシオ(公募売出し株数
÷ 公募含む発行済株式数)は25.6%(OA含まず)。2011年のIPOオファリングレシオの平均が26.8%なので、特に大きいと言うわけではありません。



もっともこの指標は従来過去10年ずっと20%前半だったのですが、リーマンショック以降、案件が少ないからか、若干比率が高くなりつつあります。 



さて、最後にバリュエーションなのですが、今回いろいろと考える部分が多いかもしれません。



ライフネット社は今期業績予想も赤字なのでPERは使えません。
生命保険なので、資産でどの位収益を稼ぐかというPBR的な評価が望ましいと思われます。
最近では生命保険会社の指標としてEEVが適用されることが大きくなりましたので、それで評価してみたいと思います。 



EEVとは、European Embedded Value(ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー)であり、2004年に欧州大手保険会社各社の財務責任者のCFOフォーラムによって制定された企業価値の算定基準です。

EEVは企業価値を算定する際、金融市場にて実際に取引されている金融商品と整合性をとりながら、保険会社の資産および負債から発生するキャッシュフローを総合的に評価するというアプローチを採ります。


 具体的には、バランスシート上の純資産額に必要な修正を加え算出した「修正純資産」および各保険会社が保有する保険契約から発生する事が見込まれる将来の「税引後利益」を合計し、その中の株主持分より企業価値を算出します。 



そのEEVですが、ライフネット社を上場している生命保険会社3社、第一生命、T&Dホールディングス、ソニーフィナンシャルホールディングスと比較してみました。
株式時価総額(210日終値)EEV20119月末、ソニーのみ20113月末)で除して、各発行体がEEVの何倍買われているかを見ると、第一生命は株式時価総額8990億円÷EEV2.23兆円=
0.40
倍、T&Dホールディングスは同5724億円÷同1.25兆円 = 0.46倍、ソニーフィナンシャルホールディングスはEEVに損保と銀行の純資産767億円を加味し同5702億円÷9327億円 = 0.67倍となります。
ところがライフネット社は同505億円÷同100億円 = 5.02倍となり、およそ上場他社の10倍のバリューションとなりました。 



参考までに会計上のPBRで評価しても、第一生命0.87倍、T&Dホールディングス0.92倍、損保、銀行を持っているソニーフィナンシャルホールディングスは1.93倍となりますが、ライフネット社は5.43倍となり、比較感はあまり変わりません。
いずれにしろ、ライフネット社は既存生保に比べ3倍から10倍の評価されている理由は何か?



これはインターネット直販によるモデル評価なのか、コストパフォーマンスが他社比大きく違う結果なのかは、
これからアナリストからレポートが出るでしょうし、機会があれば再度分析してみたいと思います。
 



とりあえず今日はここまで。

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