日経記事によれば、フェイスブックが上場するにあたり、共同創業者のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)らに通常の株式の10倍の議決権がある種類株を割り当て、さらに同CEOが既存株主の一部と議決権を代理行使する契約を結んでおり、56.9%の議決権を握っていることが伝統的な株主平等の原則に反するとの意見があるようです。 



種類株を持ったままの新規上場は2004年に上場したグーグルが先駆けであり、同社では2人の共同創業者と当時のCEOに通常の株式の10倍の議決権がある種類株を付与し、上場後も3人で37.6%の議決権を維持しました。昨年上場したクーポン共同購入サイト最大手のグルーポンや、オンラインゲーム大手のジンガも同様の仕組みを採用しているとのことです。 



日本では2003年にイー・アクセスが種類株を持ち越したまま上場しましたが、その後は種類株を持ったまま上場したケースはないと記憶しています。
(合併前の国際石油開発帝石が上場する時に経産省が黄金株を1株持っていましたが、国策が背景にあるので今回参照しません。)



 なぜそうなのか?
日本の場合でも、株主の権利は持分比率において平等との考え方が支配的であり、実際にはVCが種類株を保有していても、上場直前に普通株に転換させて上場することがほとんどですし、私もその様にアドバイスを行いました。



ベンチャー企業が種類株を付与する目的として、オーナー企業等創業経営者の支配力を低下させずに資金調達を行う手段としての利用や、投資家が資金回収手段の確保として利用 したり、減資等過去清算のための手段としての利用が考えられます。 



私の経験では実は日本でも未上場に場合にはリードインベスターのVCPEファンドが株を引き受けている場合には大半が種類株で保有しており、内容は役員任命権や議決権を2倍持つなどのものが多くありました。ですから、そういった意味では日本で種類株が馴染んでいないかというとそんなことはありません。 



では、今回、種類株を含めザッカーバーグ氏が議決権換算で56.9%を保有することが問題なのか?
私はあまり問題にしていません。
日本でも普通株で議決権の半数近くを保有しているオーナー経営者はいますし、グリーの田中社長の持株比率は新規上場時に60%を超していましたが、支配権が強すぎるなどとの議論が出たことはありません。グーグルが上場するときにも議論になったのですが、やはり種類株で普通株の10倍の、議決権を持つことが腑に落ちないということなんでしょうか。言い換えれば、普通株で支配権を維持出来るほど資本金を払い込んでいないのに、何故経営権を支配できるのかということなんだと思います。



一方でフェイスブックをここまで巨大に出来たのは当然ザッカーバーグ氏の手腕によるところが大きいでしょうし、彼が経営しているからこそフェイスブックは魅力的であり続けるわけで、結果として経営権など持たなくてもいいから投資をさせて欲しいと懇願する投資家がいるのです。もっとも種類株を保有していることがいやであれば投資家は投資をしなければいいわけで。 



グリーは上場時の株式時価総額は500億円を超していました。先日上場したネクソンの株式時価総額は5000億円です。それでも普通株のみの上場でしたし、創業者は十分支配権を維持出来ました。 



繰り返しますが、日本でも十分に種類株も持ったままの上場の環境は出来ています。(種類株そのものの上場は別途議論)ただし、種類株を持ったまま上場するまでもない株式時価総額であるとの認識です。ですから、日本で創業経営者に種類株を発行したまま上場するケースあるとすれば、私は株式時価総額が1兆円近くになるメガベンチャーが上場する時だと考えています。 



この会社をこれからも魅力的な会社にしていけるのはこの創業経営者しかいない。
日本で創業経営者が種類株を保有した上場が出て来た時、ようやく日本のベンチャー企業の規模や投資環境が米国に近づいたと言えるのだと思います。

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