報道の通り、後発薬世界最大手のテバファーマスーティカル・インダストリーズ(イスラエル)は16日、国内後発薬3位の大洋薬品工業(名古屋市)を買収すると正式発表しました。9月までに発行済み株式総数の57%を、創業家などから370億円で取得します。テバ社は最終的には大洋薬品の株式取得について「上限を設けず創業家以外の株主からの取得も進める」と述べ、完全子会社化する方針を明らかにしており、買収総額は債務を含めると約1000億円に達する見通しです。

さて、買収目線を見てみたいと思います。
大洋薬品工業は未上場会社なので、業績詳細は開示されてませんが、HPに簡単な損益が開示されています。H22/3期の業績は売上高463億円、営業利益59億円、新聞報道によれば、受託が好調であり、前期売上は514億円。営業利益は記載されていません。ただ、当社はは以前は370億円の売上で営業利益73億円を出していた時期もあり、現在は数年前の高山工場設備投資900億円の減価償却負担が大きいものと思われます。

上場会社を見ると沢井製薬の直近開示の減価償却費は30億円、日医工は28億円、藤和薬品は18億円ですあり、沢井製薬の30億円に大洋薬品工業の営業利益に乗せると、EBITDAは約90億円となります。テバ社は株式100%と負債込み1000億円を予定しているので、EBITDAマルチプルは11倍となりちょっと高いですかね。ですから、大洋薬品工業の減価償却はもっと多いかもしれません。いずれにしろマルチプルは二桁に近い一桁の後半ということなのでしょう。

今回はジェネリック同士のM&Aであり、OUT_INの案件自体にはもうあまり驚くことはありませんが、業界を俯瞰してみると、昨年から今年にかけて、2010年11月にエーザイのアリセプト、2011年1月に武田薬品工業のアクトスが米国で特許切れを迎え、2011年度から2012年度にかけて業績への影響が大きく出て来る時期です。

もともと製薬業界は従来からの新薬特許切れとジェネリックの台頭、新興国市場拡大が大きなテーマとなっており、各ファーマが事業構造の見直しや戦略転換を迫られている業界でした。それを見越して数年前に第一三共が2008年にインドジェネリック最大手ランバクシーを買収したり、先日の武田薬品工業によるスイス製薬大手ナイコメッド買収による新興国市場開拓なども進んでいます。一方で、癌や中枢神経系のスペシャリティ分野を更に掘り下げる方向もあり、アステラス製薬は癌治療薬のOSIファーマシュティーカルズに対し、敵対的買収まで行いました。

各製薬会社、今後も引き続きクロスボーダーM&Aを続けて行くことになるとは思いますが、先日ロイターにも出てましたが、現状なかなか株価が評価されていないところが悩ましいところでしょうか?個人的にはTOPIXに対しては悪くはないと思うのですが。今後に期待です。

引き続き参加者募集中!  Hiroの投資銀行サロン