既に報道の通り、米マイクロソフト(MS)は10日、インターネット通話大手スカイプ・テクノロジーズを現金85億ドル(約6850億円)で買収すると発表しました。スカイプはMSの一部門となり、MSのゲーム機やスマートフォン、クラウドコンピューティング事業などと連携し、MSによる企業買収では過去最大の案件となります。

 スカイプは03年設立され、05年にネット競売大手の米イーベイに買収されましたが、09年にシルバーレイクなどに売却され、独自に新規株式公開を目指していました。

MSとスカイプの事業シナジーやビジネスモデルについては、専門の方々いらっしゃるので、書きませんが、ファイナンス的な部分を少し。

このスカイプ、実はすんなりここまで来たわけではありません。
2003年の設立以降、2005年にインターネットオークションのe-bayが26億ドル(当時約2600億円)で買収しましたが、結果的に四半期で売上が1億ドルにも達さず、特別損失14億ドルを計上、創業経営者2名を実質的に経営から退かせます。

その後2009年にPEファンドであるシルバレイクパートナーズがe-bayから株式の過半数を取得しますが、その時のスカイプの株式時価総額は27億5000万ドルです。



今回それが負債込みで85億ドルなので、株式部分がどの位か分かりませんが、仮に1/2が株式価値だとして、42.5億ドル。シルバーレイクは2年足らずで約1.5倍。IRR24%を確保しました。当然レバレッジかかってるでしょうから、ファンドとしてのリターンはそれ以上になるのでしょうね。

また、シルバーレイクが株式を取得するのと同時に、再度創業者が一部株式を取得しているのも、ベンチャーならではの怨恨的なものが見え隠れしたりしてます。
一方でスカイプは昨年の8月にIPOの申請を行っており、その時の株式時価総額は40億ドルとも言われていました。

仮に株式価値が半分だとすると、先ほどの通り42.5億ドルとなるため、バイアウトとIPOの違いは余り無いかもしれませんが、IPOの申請をしてからCEOを入れ替えたりしたところを見ると、今般ファンドがEXITを急いでバイアウトに切り替えたフシがあります。

IPOでは最大でも株式時価総額の20%程度までしか売却できないため、シルバーレイクとしてはMSに売却したほうが一発で「利確」出来るということなのでしょう。

もっとも買収価格は2008年比、2010年EBITDAは2億6400万ドルであり、2008年比、20%以上増加しているとはいえ、EBITDAマルチプルが32倍というのはなかなかハードル高いですね。だから、自前である程度この分野のサービスを持っているGoogleやFacebookは腰が引けたと言うことなのかもしれません。

最後にスカイプが個人的にワクワクしないのは、既に創業者がマネジメントに関与してないこと。Google、Facebook、Twitterなどのメガベンチャーは今も創業者がマネジメントに関与しており、いい意味でのやんちゃな魅力があります。

ということで、買収金額はともかく、スカイプが既にビル・ゲイツ氏のいないMSに取り込まれることに魅力を感じない案件でした。

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