日経によれば、5月にロンドン市場と香港市場に上場する予定の、スイスの資源商社グレンコアのIPOに対する主要な機関投資家の需要が、特にアジアや中東で社内予想を大きく上回ることが関係者により明らかになったそうです。

グレンコアはIPOで売り出す株式の20~30%をいわゆる「戦略・安定投資家」に割り当てる意向を示しており、戦略・安定投資家は新株発行前に株式の購入を確約し、購入した株式を一定期間保有します。

同社は5月にロンドン市場と香港市場で発行済み株式の約20%を販売する予定であり、同社が株式評価額を600億ドル前後とみていることから、調達額は100億ドル~120億ドルに達する見込みで、モルガン・スタンレーとクレディ・スイス・グループ、シティグループが主幹事を務めるとか。

さて、今日は海外のIPOファイナンスの仕組みと、「戦略投資家」について少し。
ここに出てくる戦略投資家はいわゆるストラテジック・インベスターと呼ばれ、特に香港上場の場合、ファイアンスの制度として明記されているものであり、株式の公募前または公募時に有利な条件で株式を譲り渡される投資家のことをいいます。

戦略投資家の役割・要件としては、ファイアンス時の需給バランスを調整し、一定の資金を確保させたり、ビッグネームの戦略投資家に販売することで、そのファイナンスのステイタスを上げる役割があります。また発行体と戦略投資家との事業シナジーを創造したりすることもそうですね。

その為、ファイアンス時には、通常の公開価格より割安で販売されますが、香港の場合は6ヶ月のロックアップがあるのが条件です。今回は、クウェート投資庁やアブダビ投資庁、カタール投資庁、シンガポール政府投資公社がネームに上がっているようですし、普段はゴールドマン・サックス等のネームが上がったりします。

日本の場合は制度的な「戦略投資家」という地位はなく、ファイナンス時にも有利な株価で割り当てられることはありません。但し、主幹事証券の機関投資家営業部隊が販売ポーションの中で、自社の上顧客に対して販売株数で調整するということはあるかもしれませんが。

今回のグレンコアIPOは時価総額600億ドル(約5兆円)でありファイナンス額が100億ドル~120億ドルですから、オファリングレシオ(ファイナンス額 / 時価総額)が、16%~20%と、IPOとしては普通の株式流動性のファイナンスとなります。約1兆円ですから、昨年の第一生命と同じくらいのファイナンス規模ですが、欧州では過去最大級のIPOになるとか。ぜひ大型IPOが成功して欲しいと思います。

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