日経によれば、オーストラリアのスワン副首相兼財務相は5日、豪証券取引所(ASX)がシンガポール取引所(SGX)から受けている買収提案について「国益に反するという深刻な懸念がある」として反対する見解を表明しました。アジアの金融センターを目指すシンガポールと資源高を背景に急成長する豪州による戦略的な取引所統合は破談になる可能性が高まったとのことです。

確かにこの案件の買収実現には、別の政府機関である豪外国投資審査委員会(FIRB)の承認や、1株主がASXの15%以上を保有できないとした規制改正が必要ではありましたが。

SGXは昨年10月、ASXに対して友好的なTOBを通じて、2011年中に完全統合する方針を発表し、買収総額は当時84億豪ドル(7300億円)で、合計した上場株式時価総額で世界トップ10に入る取引所連合が誕生する計画でした。

思わず、うーんと唸ってしまいます(笑)
証券取引所の再編が国際化している最中での話です。ここでいう「国益」とは何なのか?

買収スキームはASXの発行済み株式の全株取得なので、おそらくASXそのものは存続し、法人税は今まで通り、豪州に落ちるわけですから、それ以外の国益とは何なのか?

単に豪州の株の「胴元」がシンガポールに買収されるという情緒的なものであれば、そもそも上場なんかさせなければいい。上場しているということは常に買収リスクがあるということだし、ましてや敵対的買収でもなく独禁法抵触懸念とかでもないのに、当事者同士が合意していることに対して、官が民のビジネスの邪魔をしないで欲しい。

この手の議論は以前日本でもありました。
2008年、英投資ファンド「ザ・チルドレンズ・インベストメント・マスター・ファンド」による国内電力卸、電源開発(Jパワー)株の追加取得に関税・外国為替等審議会・外資特別部会の意見を聞いた上で政府は追加取得の中止を勧告しました。これもかなりモメましたね。

日本では、放送法などで議決権比率で20%以上となる放送局への外資の出資を一律に規制してますし、電力・ガス会社などの株を外資が10%以上取得する際に政府が「問題なし」と判断すれば取得できます。「国益」とはこの場合、インフラであり、外資による支配を避けるというのは理解出来ます。

典型的なのは国際石油開発帝石ですかね。政府が黄金株1株を保有しており、重要事項の決議については、1株でも拒否権を持っています。たしか黄金株を持っている唯一の上場企業だったと認識しています。

でも今回決定的に違うのは、敵対的買収でなくお互いが合意していることです。

話を戻しますが、証券取引所が国のインフラなのか?
そもそも投資家は胴元がどこの国なのか気にして投資することはないでしょう。
あくまで興味があるのは銘柄と品揃えだし、今まで通り法人税も入る。
「国益」って何なんでしょうね?(笑)

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