日経の報道によれば、アステラス製薬(4503)は17日、米社と合弁で設立した医薬品の研究開発会社を6月までに完全子会社にすると発表しました。
 完全子会社になるのは米パーシード・セラピューティクス(カリフォルニア州)。アステラスが米医薬品会社のマキシジェン(同)と合弁で2009年9月に設立したのですが、アステラスは設立から3年目までパーシードの全株を買い取る権利を持ち、このたび権利行使を決めたそうです。
 買い取り額は7600万ドル(日本円で約60億円)。パーシードに対するアステラスの出資比率はこれまで17%でした。アステラスは2014年度を最終年度にした中期経営計画で抗体・たんぱく質医薬品の積極的な開発を掲げています。パーシードの完全子会社化はその一環となります。

さて、このアステラス、ファーマの中では非常にアグレッシブな発行体として理解しています。例えば、2009年1月に米上場バイオベンチャーのCVセラピューテクスに対し敵対的TOBを仕掛けたり(結果的に米ギリアド社のホワイトナイト登場により買収断念)、有名なのは2010年3月にOSIファーマシュティーカルズに敵対的TOBを仕掛けて成功したことでしょうか?

当時、全株取得をめざしており、買付総額は最大で約35億ドル(約3100億円)。TOBは当初からのOSIとの交渉決裂によるものであり、アステラスは主力薬の特許切れを受けて新薬候補の確保が急務になっており、がん治療薬を得意とするOSIの敵対的TOBに踏み切りました。

当時の買い付け価格は1株当たり52ドルで、OSI株の2月26日の終値に対して40%、直近3カ月の終値の平均値から53%のプレミアムをそれぞれ上乗せしていましたが、プレスリリース後OSI株価は56$とTOB価格を上回り、TOB価格が低すぎるとのシグナルが出ていました。
その後いろいろとありましたが、結果的にOSI側の取締役会が57.5$で合意し、約40億ドル(3700億円)と買収となりました。確か当時EV / EBITDAマルチは20倍程度ではなかったかと思います。

以前CVセラピューテクスに敵対的TOBをしかけ、ホワイトナイト登場により買収断念しながらも、引き続きアステラスは生き残りを賭けて、レピュテーションを気にせずに実を取りに行った施策が効を奏したという印象でした。

今回も合弁会社の株を全株買取る約定を付けていた等、その「肉食系ぶり」には頭が下がります。
また、当時OSIの敵対的TOBのFAはシティグループ、リーガルはモリソン・フォスターでした。

記憶に間違いがなければ、「王子製紙vs北越製紙」のFAであった野村以降、敵対的買収の日系FAはまだなかったような気がします。

さて、敵対的買収が望ましくないのはもっともでしょうし、それでもアグレッシブに買収に向かう、アステラスの危機感も理解できます。
でも、それを実際に実行出来るアステラスの「大義」というものは何なのか?
一度じっくりとそれを理解してみたいと思います。

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