昨日から、東証斉藤社長のこの発言が物議を醸しだしているようです。

東京証券取引所の斉藤惇社長は22日の定例記者会見で、MBO(経営陣が参加する買収)で上場廃止する企業が増加していることについて「一言でいうと残念。これまでMBOを実施した企業のほとんどが初値の値段よりも株価が低い。株主に高値で買ってもらい増資もしたり、リスクマネーを取っておきながら、株主がうるさいから上場廃止にするというのは心情的に非常に不快で、投資家を愚弄している。資本市場のシステムそのものを毀損する恐れがある」との見解を示した。
(日経QUICKニュース)

では、「MBOを行ってはいけないのか?」
ということについては、個人的には
「MBOするのは自由だし、発行体の熟慮に委ねられる。」
と理解しています。

「ほとんどが初値の値段よりも株価が低い。」ということですが、
上場時期にもよりますが、そもそもそのような発行体を上場承認したのは他ならぬ東証です。そこはどうなのでしょうか?

それに株価そのものは発行体単体の業績だけで動くものではなく、その時々の経済環境にも大きく影響受けるわけで、必ずしも比較対象として適正ではないと考えています。日経平均に限れば、最高値から20年以上経ってもこの状況です。突き詰めれば、投資するもしないも自由ですし、本人の責任です。

もっとも、時代は大きく変わり、常に外部・内部環境が変化していきます。上場当時とビジネスモデルも変化し、株式時価総額がロングテールと化し、上場よりも株式時価総額が低くなっている発行体はそれなりにあり、そこに投資して株が「塩漬け」になっている株主もたくさんいるでしょう。

今回MBOを発表した発行体は、少なくとも財務的には大きな問題はない場合が多い。発行体の手元現金もしくは借入でプレミアムのついた株を買い戻す余裕のあるところですね。本当に「退場」しなければならない発行体は業績もご苦労され、なかなか「MBOさえ出来ない」と思われます。

少し話を変えて
「そもそも上場は何のためにするのか?
ということなのですが、

当然「事業成長するために新たな資本充実を図り、企業価値を最大化させ、株主還元する」ということなのかもそれません。

私は今まで実際に証券会社で数社の上場のお手伝いをさせていただきましたが、上場時のファイナンスで公募調達出来る金額は、概ね株式時価総額の20%程度までです。具体的には上場時に100億円の株式時価総額であれば20億円くらいでしょうか。実際には売出もあるので公募は10億円くらい

株式時価総額100億円の企業イメージは、例えば売上50億円、経常利益10億円、税引純利益後5億円 PER20倍でしょうか?
この程度の発行体なら、銀行借入も10億円可能かもしれません。

上場直前の発行体であれば公募調達する金額程度なら、銀行調達することが可能な場合がほとんどです。

本当に重要なのは、上場後のセカンドファイナンスを出来るか否かの部分であり、これが出来ればファイナンス的に本当に上場した意味があるのでしょう。

ファイナンス以外の要素であれば、
上場して一番変わるのは人材の質が変わります。上場するとやはり安心感や認知度が格段に変わってきますから、非常に優秀な人材の採用がやりやすくなります。「企業は人」ということであれば、人材の補強により、経営が上手くまわり、業績伸長の結果として株式時価総額が上がるかもしれません。

個人的には
環境が変り、セカンドファイナンスを行う状況ではなく、ビジネスを再構築しなければならない時に、投資やリストラで当面会社の業績が伸びないと経営者が思い、当面身を屈めなければならいない時、株価伸びない特に、一定のプレミアムを支払い株主から株を買い戻し、非公開化することが何故いけないのか?

上場企業の「新陳代謝」も必要であると思います。

東証も株式会社であり、民間会社です。
出て行くものを追うのではなく、先日プレスがあったメガバンクとの提携等、新たに上場を目指す発行体、(別に日系企業である必要はありません)のサポートを強化していくことで、新陳代謝を促進ことに注力して欲しいと思います。

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