一昨日、ヤマトホールディングスのユーロ円CB200億円がローンチされました。
同時に300億円を上限とする自社株買いの実施も発表しました。CB発行で負債を増やす一方、その資金で自社株買いをすることで、資本効率を高める狙いです。ほぼ全額買い戻しです。

今回このCB(Convertible Bond/転換社債)はトランシェ(規格)1本であり、
Deal Sammryは以下の通りです。

ヤマトホールディングス
格付 AA-(R&I)
.5年(2016/3/7償還)
・発行金額 200億円 
・ク-ポン  ゼロ
・アップ率/転換価格 40.68% /1,850円
・募集価格 102.5%
・発行価格 100%
・上場 シンガポール証券取引所

今回のCBの特徴は、転換価格が1315円の40.8%と高めであり、
更に転換制限条項(CoCo条項)で、一定期間、転換価格の120%を超えた場合に
株式転換できるとしており、転換目的というよりも、デッド性の高いストラクチャーとなっています。
またユーロ円CBの市場はロンドンとシンガポールがありますが、
発行コストが安いため、最近はシンガポール調達が多いですね。

今回のCBと自社株買いの目的はズバリ、「株主価値の最大化」です。
プレスも「株主価値の拡大を目指す財務戦略として、一部の自己資金に加え、負債性資金を活
用した自己株式取得の実施が最も有用なスキームであり、以下の特徴を有する本新株予約権付社債は、当社の財務戦略を実現する上で最適な調達手法と考えております。」と明快です。

転換を目的としないのであれば、普通社債(Strait Bonnd/SB)でもいいような気がしますが、
SBはゼロクーポンとすることが出来ないため、クレジットの高い発行体はCBで転換価格を高く設定します。
また、今回のCoCo条項をつけることにより、財務会計上潜在株とは
認識されないため、希薄化防止の役割を果たしています。
(ただし、転換条件に近づいてきたら、当然株価は下がって行きますが)
クレジットの高さ(AA-)を活かし、資金をエクイティからデットにシフトすることで資本コストWACCを引き下げ、企業価値を高める。

コーポレートファイナンスの教科書に出てきそうなケースですかね。
依然、やはりこのリキャップ型CBを行い、同じような評価をされた会社がありました。

2008年3月のヤマダ電機のユーロ円CB1500億円。
これは今でもファイナンスとしては「残念な結果」としての筆頭に上がるケースかもしれません。

ローンチ当時は株価も上がりそれなりに評価されたのですが、ローンチから約1年後に
CBの100億円の買入消却を行って以来、計4回で合計210億円の買入消却を行いました。

ヤマダ電機の株価はCB発行とほぼ同じころから下げ始め、08年は年間で52%も下落しました。09年2月5日に09年3月期の純利益見通しを6期ぶりの減益に下方修正すると、株価はさらに下げ、09年4月2日の終値は4160円。09年3月13日に付けた年初来安値(3250円)からやや戻したものの、第1回目の買入消却時、CBの転換価格にはほど遠く、13年満期(発行額700億円)の転換価格が1万4175円、15年満期(800億円)が1万3797円は「転換はほぼ不可能」との評価となってしまいました。
問題は、買入を決定した時、自社株買いはローンチ時の230億円しか行っていなかったこと。
CB発行のうち、最大700億、最初の設定でも350億円をプレスしていたのですが、それは成し遂げられませんでした。

要は当初の目的は未達ということですかね。そこで自己株取得していた部分のCBを買入消却したと言う事になるのでしょうか?

一方、今回のヤマトHDはに2/18に23億円の自社株買いを行いました。
今後の自己株取得に期待したいところですし、マクロも環境もヤマダ電機のころとは
ちがうのでいいかもしれません。

2/18の株価は前日比6.1%高の1395円と大幅続伸し、ゴールドマンサックスではEPSの改善期待から目標株価を1360円から1420円に引き上げたようです。

今後もリキャップCBは行われると思いますが、常に自社株買いの進捗を見極めていく必要があると思われます。

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