さて、本日の日経によれば、三井住友銀行と日興コーディアル証券は16日、ベンチャー企業向けの新規株式公開(IPO)支援サービスに東京証券取引所が協力すると発表したそうです。東証と業務提携契約を結び、共同で企業向けセミナーなどを開くとか。
東証が個別の金融機関とIPO支援で提携するのは初めてになるのは初めてらしいのですが、まあ東証からすれば、現状日本のIPO件数を勘案すると早期にIPO有望企業に対して囲い込みを図りたいという気持ちはわかります。

ただ、一方でメガバンクや証券からしてみると東証と提携するよりはもっと他の方法があったりしてもいいのではないかと考えてしまいます。

そう、海外上場です。
海外IPOというテーマは個人的にも極めて重要なテーマとして位置づけています。

昨年、一昨年ほどではないにしろ、日本のIPO環境は依然厳しいものであり、それは先日政府主導でリリースされた「優良企業リスト」を作成し、支援すれば解決するものではなく、そもそも日本のGDPが伸びないことにあるわけで、要は成長しない市場などにリスクマネーが入ってくるわけがないと言うことでしょうか。ここは直近の株式環境を申し上げているのではなく、長期的な話をしています。

日本の大手証券会社もそろそろ本腰で海外上場支援を検討する時期に来ているのではないでしょうか?

例えば、
昨年香港のIPOで調達した金額は450億ドル(3兆7800億円)であり、これはNY、ロンドン、東京の3市場のIPO調達額の合計よりも大きかったとのこと。
一つには税率メリットがあるかもしれません。

仮に香港と東証の業種別PERが同じ倍率だった場合、香港の実効税率が16.5%、日本が40%程度であり、同じ税前利益でもEPSが違うため、株式時価総額はかなり違って来ますかね。

それを考えれば、まだまだ海外IPOのハードルは高いと思われますが、この1,2年でおそらく日系企業が香港でIPOすると思われます。そしてシンガポールも同様です。時価総額についてはまだ東証が大きいかもしれませんが、将来のIPOを考える場合は、やはり自社のビジネスにとってどのマーケットが一番伸びシロがあるのかを考えて、上場市場を検討する必要があります。

シンガポール証券取引所は取引所で取り扱っている発行体の時価総額はおよそ東証の1/10ですが、外資系企業が300社以上上場しており、東証は10社台です。そういった意味では非常に外国企業誘致に熱心であると言えます。

ただ一方で、海外IPOはそれなりに別のコストもかかるのは気になるところです。
例えば、シンガポールのカタリストはシンガポール人の取締役1名置かなければいけないとか、取引所が審査するわけでなく上場している間は上場審査の責任者であるスポンサー(主幹事証券)が必要であるとか、IFRS対応の英文開示が必要だとか、非常に細かいコストがかかるわけです。上場維持コストは日本と同じくらいかかるかもしれません。

一方でファイナンスでは6か月フルロックアップで経営陣が50%以上保有してないとダメだったり、そのへんの規則は日本より厳しいです。またIPOで株式時価総額が200億円程度ないと投資家がつかず、株価がロングテールみたいになるのは日本と同じですかね。他の取引所も似たような感じでしょうか?

重要なのは日本も含めたどの国で上場することが発行体にとって一番いいかと言う事です。売上依存度がシンガポールや香港や台湾で高い場合は、その国での上場を検討する価値は高いでしょう。やはり上場した国での投資家が一番株を買いやすいとは思いますから。売上が日本に大きく依存している場合は日本も含めた市場の検討が必要です。ましてや海外IPOを行う場合は日本で主幹事対応出来るところは限られます。
というのは、日系主幹事証券の場合は現地取引所会員になっていなければ、引受審査は出来ません。いずれにしろ主幹事の現地法人が行うことになります。ほぼ日本は関与しない。

ここまで書くと、やはり日本でIPOをした方が楽なのではないかと思うかもしれませんが、
今後の企業成長依存が海外である場合はやはり海外IPOを目指してみる価値はあると思います。そしてそれは我々のファンドのEXITの選択肢の一つでもあります。

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