既に報道されているように、幻冬舎が15日開いた臨時株主総会で、MBOに必要な定款変更議案が出席議決権ベースで3分の2を超す賛成票を集め可決されました。対抗買収に動いた投資ファンドの肩代わりで株を持つ立花証券が総会を欠席した結果のTOB成立となります。

さて本件はいろいろと不可解な部分はありましたが、それは今後明らかになるかもしれませんのでそこに期待するとして、今回はこのTOBが価格的にはどうだったのかを少し検証したいと思います。

幻冬舎の業績をEBITDAマルチプルで見ると来期予想のEBITDAは1600M強ですから、当初の220,000円でTOB成立すれば、ここはDebtはありませんので単純なEV/EBITDAマルチだとEVは220,000×36000株(自己株含)= 7,920M でマルチは4.95倍。一方でここは現金が5200Mありますから、これを引くとEVは7,920-5200 = 2,720M でマルチは1.7倍です。
最近は5倍程度でしょうか?

ですから、表層的には妥当性があっても、よく見ると安いプライスであったことはおおよそわかります。

ローンチ時には、TOB対象株数は19,050株でしたから、現預金5200Mを全てTOBに費やすとすると27万円程度まではTOB価格を引き上げることが可能となります。レバレッジもかけずにマネジメントがMBO出来ると言うのはやはり割安なのでしょうね。それはTOB価格変更後の248,300円でも同じです。無借金会社ですから、借入を行えば、30万円はゆうに超えたでしょう。

イザベルの思惑はともかく、ちょっと有報を眺めてみて「これは超割安だ。対抗出来る」と思わせるほど安かったTOB価格である意味「スキ」はあったかもしれません。やはり、アビトラージ「裁定」を取りにいくことがビジネスの勝ちパターンの一つではありますし。

イザベルは何らかの「大義」を掲げて対抗すれば流れは変わったかもしれません。但し、今日の今でもイザベルから何らコメントがないと言うことは、そこは単純なグリーンメーラーと思われてしまっても仕方が無いかと。

今回思うのは、各自の思惑はどうあれ、資金さえあれば、少なくとも会社の株を取得することは可能だということです。「会社は株主のもの」という基本的なことを改めて理解した次第です。

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