先日、林原という岡山のバイオ企業で未上場の会社が事業再生ADRを軸とした私的整理目指すと発表しましたが、どうもすんなりと金融機関が応諾するような気配ではなさそうです。

日経によれば、
「取引金融機関への報告によれば、林原は1991年ごろから2001年まで300億円近い架空売り上げを計上し、損失を隠していた疑いがあるという。
 中国銀行420億円、住友信託銀行280億円――。与信総額約1400億円、約30社に上る取引金融機関の反応は複雑だ。
 主力行の中国銀行の首脳は26日、「開発に軸足を置く林原の事業モデルは優れており、ADRが成立して事業を継続することを望む」と語った。一方、融資第2位の住友信託銀行は「事業再生計画の合理性を慎重に検討した上で、対応を検討する」と発表。別の取引行の幹部も「財務の実態がはっきりせず、現段階でいくら支援が必要なのか見えない」と語る。」
ということらしいです。

事業再生ADRとは、過剰な債務を負った企業が再生を図る場合に、民事再生手続きなどの「法的整理」か、裁判所が関与しない債務免除などの「私的整理」の仕組みを使ってきたが、事業再生ADRは双方の利点を取り込んだ新制度で、全金融機関の合意が取れれば可能ということなのですが。

実はこの事業再生ADR、2009年からの施行にも関わらず、経産省、帝国データバンクの調査では昨年末までに、詳細判明しているだけで、20案件(29社)とか。申請の80%が事業再生ADRを受理されているようです。有名どころでは、コスモスイニシア、アイフル、日本アジア投資。一方承認されなかったのは、日本航空、ウィルコム。

で、事業再生ADRの内容の実態は90%がリスケジュールで、残りがDES、債務免除だとか。業種では不動産が80%とか。

さて、林原ですが、どうも一部では
「未上場企業だからガバナンスが」とか「情報開示が乏しいから」「粉飾らしい」とか、のコメントが出ているようですが、基本的に論点がズレているように思います。

日本の会社で未上場の会社の方が圧倒的だし、未上場であれば関係者以外に情報開示する必要もありません。仮に粉飾だとしても、カネ貸してる方はなんたってプロですから、ビジネスリスクの一つということになります。

過大投資だったか否かについては、年商280億円企業が借入1400億円借りてしまえば、金利2%でも28億円の利息なわけで、営業利益10%出しても吹っ飛んでしまいます。
詳細情報が出てこないとわかりませんが、あくまで経営判断の一環ではなかろうかと。

今回金融機関でメインの中国銀行は与信420億円ですが、林原は中国銀行の株をグループで10%程度保有しており、現在の担保価値は230億円。仮に株式担保になっていれば、Net190億円です。当然不動産担保もあるでしょうから、ある程度損失は食い止められるかもしれない。サブの住友信託以降は騒ぐことになるのは容易に想像されます。

今後の動きが注目されますが、どうもこのケース、あまりに情報の出方が早いところをみると誰かが世論をコントロール(形成)しようという意図が見え隠れしてなりません。
では。

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