ベンは公募増資は出来なかったのか?

ここからはあくまで私の推測です。
タカラレーベンの株式売買代金回転率を調べてみました。YahooFinanceとexcelで簡単に計算出来ます。時系列データから日々の終値(調整後終値ではない)と出来高がわかるので、両方を掛けた物がその日の売買代金です。で、それがその日の株式時価総額の何%に当たるかを計算します。

タカラレーベンは3年以上エクイティファイナンスを行っていないので、発行済株式数は17,540,333株(今回は自己株は考慮しない)なので、仮にローンチ前日の3/4であれば、終値は517円、出来高は32,300株ですから売買代金は16,699,000円でこの日の時価総額は9,068M(自己株があるので実際には8,560M)ですから、この日の株式売買高回転率は16.7/9,068=1.8%です。要は一日で時価総額の1.8%の株が動いたと言う事ですね。

これを毎日計算していくと、手前1か月の株式売買高回転率は14.59%、その手前1か月は31.59%、更にその1か月手前は23.76%です。合計で69.94%。3か月で約70%の株主が入れ替わる流動性があるということになり、足許の業績を勘案すれば、公募増資が出来ない銘柄ではなかったと思われます。それでも、ライツ・イシューを選んだと言うことは、多分公募増資が可能な金額は株式時価総額の15%程度ですから、もっと大きな金額の調達が必要だったということなのでしょう。

ローンチ後の株価と新株予約権価格
今回新株予約権の権利行使価格は300円であり、ローンチ前日終値の58%ディスカウントです。ライツ・イシューは株主割当なので、基本的に有利発行の概念はなく、このディスカウント率は発行体とブックランナーとのストラクチャー如何ということになります。重要なのは割当比率、このディスカウント率でのさじ加減と言う事なんでしょうかね。

昨日の計算に当てはめるとタカラレーベンのTERP(権利落ち後理論株価は{517円(前日終値)+300円(行使価額)}÷2 = 408.5円。
ということは新株予約権の理論価格は408.5円ー300円=108.5円。まあ丸めて109円としましょう。4/1の新株予約権上場日の前日の3/31の株価終値は419円です。理論株価は408円ですから、概ね収斂していきました。で、4/1の新株予約権上場日には理論価格の119円売り気配で始まり、70円で寄りました。大幅安というところでしょうか。一方で4/20に業績上方修正プレスもあり、ピークでは200円を超えた日もあったわけで、新株予約権のチャートを見る限りでは理論価格の109円を超えてる日もそれなりなあるわけですから、個人的には必ずしもロイターの記事だけが全てを物語っている訳ではないと思うのですが、いかがでしょうか?
新株予約権の流動性にについては権利行使が95%超という訳ですから最後は細って行くのが当然だとは思うのですが。もともと権利行使が目的ですから。
既存株主が割を食った的なコメントも散見されますが、少なくともチャートを見る限りではそうは思えないのですが、いかがでしょう? 
http://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/chart/?code=88979.T&ct=z&t=3m&q=c&l=off&z=m&p=m65,m130,s&a=v

どうしてもプライマリーサイドからの論点が中心になってしまいますが、どなたかセカンダリーサイドからの景色をコメントしていただけるとありがたいです。

今後の日本でのライツ・イシューの課題
個人的には、日本初のブックランナーのいないノンコミットメント型のライツ・イシューは成功だったと思っています。多分発行体は当初は何処かの証券会社にブックランナーをお願いして、断られたのではないかと思います。わかりませんが。要は正直どのくらい権利行使してくるか分からないファイナンスのハードアンダーライティングはかなり引受リスクが高かった。でも、ある意味、ベストエフォートのスモール・ミドルキャップ案件でも95%権利行使できたと言う事は、少なくともファイナンス的には日本でもライツ・イシューは可能であるということがわかりました。

ただ税制(新株予約権譲渡は確定申告扱い)と日程が長いという法律のカバーがなされておらず、ここが今後コミットメント型を行う上でのハードルになりそうです。ここの部分は制度設計の問題で即急に改善を期待したいところですね。
それが解決の見通しがたつのであれば通常の公募増資以上の調達も必要な発行体で、しかもメガキャップの案件はやはりライツ・イシューをオプションの一つとして検討するべきでしょうし、日系がブックをやらなければ外資系がやるでしょう。そして、コミットメント型の大きい案件が出来て初めてライツ・イシューは日本でもエクイティファイナンスになるのだと思います。

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