春ですね。
4月から、国内大学院MBAに通われる方も多いということで、
一応、自分の経験からファイナンス系参考図書を記載してみました。
ご参考になれば幸いです。

初心者向け

「入門ビジネスファイナンス」 西村茂著 東洋経済新報社
http://www.amazon.co.jp/入門-ビジネス・ファイナンス-西山-茂/dp/4492601724

これは初めてファイナンスを学ばれる方にお勧めです。NPVに関する詳細な説明、
たとえばゼロ年目には割引率を掛けない等のアドバイスがされており、薄目の本なので、
2日間くらいで一気に読めるかも知れません。

「バリュエーション」 森生明著 日経BP
http://www.amazon.co.jp/MBAバリュエーション-日経BP実戦MBA-森生-明/dp/4822242463/ref=sr_1_2?ie=UTF8&s=books&qid=1269315827&sr=1-2

これもそもそも企業価値って何なのか的なところから説明しており、バリュエーションの本としては非常にスタンダードな本ですね。森生氏は「ハゲタカ」の監修で有名ですし、FROの講師としてもご活躍です。


中級者向け

「企業価値評価/VALUATION 上下」マッキンゼー・アンド・カンパニー/本田桂子
http://www.amazon.co.jp/企業価値評価-第4版-【上】-マッキンゼー・アンド・カンパニー/dp/4478470820/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1269316116&sr=1-1

私は現在実務のベースにおいて使っています。当然グロービス時代も含めてです。
ブリーリー・マイヤーズの「コーポレートファイナンス 上下」に比べ実践的であり、
Valuation方法については下巻で赤字会社の場合、金融機関の場合等個別業種で記載されています。DCFについてのハイネケンのケースはかなり詳細に書かれており、翻訳も秀逸です。


「MBAのためのM&A」田村俊夫著 有斐閣 
http://www.amazon.co.jp/MBAのためのM-田村-俊夫/dp/4641163308/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1269316441&sr=1-1

有斐閣というのが、法学部出身の私としてはナミダものですww.
この本は最新ケースを織り込んでおり、従来の「M&Aとは」的な話ではなく、
実際に起きたことを理論として説明したり、ファイナンス手法ではなく、PEファンドとして行うべきこと、MBOとして行うべきこと等、タスク別に章立てしているのが便利です。
一橋のMBAはこの形式で学んでいます。


上級者向け

「合併・買収・再編の企業評価」E・Rアルザック/齋藤進著 中央経済社
http://www.amazon.co.jp/合併・買収・再編の企業評価-E-R-アルザック/dp/4502662100/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1269316913&sr=1-1

これはファイナンスを仕事としている人、三度のメシよりファイナンスが好きな方向けです。多様なAPV評価、可変WACC(意味わかる人だけ納得してくださいww)のDCF法等について実践・理論両方から記載されています。かなり骨ありますが。


「バリュエーションの理論と応用」谷山邦彦著 中央経済社
http://www.amazon.co.jp/バリュエーションの理論と応用―オプションを含む多種多様なM-Aプロダクツの評価-谷山-邦彦/dp/4502223204/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1269317196&sr=1-1

これはつい先日出ました。
通常のDCFというよりも特殊なケースに価値がありそうです。
ライツ・プランを伴うValuation、エクイティ・キッカー(新株予約権)の評価、転換社債型新株予約権付社債(ハイブリッド証券)、強制転換優先株式の評価等ですか。まあ、ここまで読むのはかなりマニアックですが。

読み物としてお勧め

「日本企業のコーポレートファイナンス」砂川伸幸、川北英隆、杉浦秀徳著 
http://www.amazon.co.jp/日本企業のコーポレートファイナンス-砂川-伸幸/dp/4532133459/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1269317758&sr=1-1

これは日本企業のファイナンスに特化して、資本コストやβの情報が集約されており、ケースで日本企業をValuationするうえで、ツールとして非常に参考になると思います。お勧めです。


「信用リスクとM&A」Bloomberg著 日本評論社
http://www.amazon.co.jp/検証-信用リスクとM-上野-孝司/dp/4535555230/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1269317841&sr=1-1

2007年なのでちょっと古いかも知れませんが、ソフトバンクのボーダフォン買収等、実際のM&AにおいてマーケットがそのM&Aについてどのような評価をしたかを株価、格付の観点から執筆した興味深い本です。ソフトバンク、ライブドア、王子製紙、日産・ルノー、日興シティグループ等、2005、2006当時話題をさらったDealであるとともに、それ以降のファイナンス、Valuationに影響を与えた重要なケースが詳細に書かれています。


ファイナンスは非常に面白い学問です。
カネに色はついていません。
私がファイナンスに魅せられている理由は、極めてロジカルでダイナミックだからです。議論をしていると、答えは2つあるとか3つあるとか、実は答えはないとかいう話があったりしますが、少なくともファイナンスや数字については、答えはある一定の領域しかないと思っています。“エコノミクスはすべてに優先され、マーケットは常に正しい”。本来はこのぐらいの価値があるはずと言われていたとしても、今あるマーケットの姿が、紛れもない真実であり、唯一の答えなのだと思います。起こることはすべて正しいと。


戦略は正しい。きちんと人材の分野も押さえていて、高い志もある。とは言っても、そういったものを全部つなぎ止める土俵となるべきものは、ロジカルな数字です。数字があるからこそ、こういった話ができると思うのです。数字を抜きにして、「企業は人です」だけで話を全部済ませてしまうのは、どうも自分としては違和感が残る。もちろん、数字が全てというつもりはありません。戦略は当然ファイナンスとつながりますが、志や人の動かし方といった話ができるのは、その前にきっちり数字に強くなってからではないのかと。この日本からファイナンスに強いMBAがたくさん生まれて欲しい。そのために自分ができることをやりたいと考えています。

今後ともよろしくお願いします。

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