さて、一夜明けて、日経でキリン・サントリー破談の件はかなり詳細に
書かれていますので、それを読んでいただくとして、特に日経3面を見る限り、今回、典型的なディールブレイクの流れであったことがわかりました。以前、記載しましたが、年末の日経で統合比率1:0.7とプレスされ、それで計算するとEBITDAマルチではキリン8.14倍、サントリー10.2倍、アサヒ7倍。明らかにサントリーに有利に進められていました。ただ、アドバイザー(キリン側は三菱UFJ、モルスタ)はもともと1:0.5をValuationのベースで持っており、カウンターオファーではそれをぶつけたところ、サントリー側の不振を買い、それが最後まで引きずった。

アドバイザーからすれば、ある意味フェアバリューベースの1:0.5をぶつけるのは、交渉戦略の組み立てとして、「あり」です。あくまでアドバイザーはキリン側の利益確保に動くために雇われているので。そして交渉過程で1:0.7まで寄せたということなのでしょう。

今回のディールブレイクのポイントとしてもうひとつ、企業の「透明性」というのが挙げられました。キリンはずっとそのことに拘っていた。透明性というのはあまり普段出るポイントではありません。関連当事者取引(平たくいう株主との取引 脚注)をEDINETに見に行ったのですが、有価証券報告書が貼られてませんでした。昨年は閲覧できたのですが。あくまで憶測ですが、創業家としてどうしても譲れないところがあったのかもしれません。誤解していただきたくないのは、私はそれを譲ってして統合しろと言っているのではありません。ヒトによって守るべきものが違うのは当然です。

ただ、新聞に記載されているとおり、内需型メガM&Aがここに来て、ディールブレイクしたのは非常に残念でなりません。一方で自分も統合破談を経験しています。飲み込まれることの恐怖というのはありますよね。でも、パーソナルで自分の力を磨けば、その組織でも生き残っていけると思うのは甘いでしょうか?もうそろそろそういう時代でいいと私は思うのですが。

---------------------------------------------------------------------------------------------
2009/12/25

さて、4時半ですが(笑)
仕事が終わらず、持ち帰ってやっておりました。
これから1時間半くらい寝ます(笑)

キリン、サントリーの統合比率が1 : 0.7と発表されました。
この比率から何が見えるかキリン、サントリー、アサヒビールの有報を見てみました。
キリンですが、2008/12期の実績では、売上高2兆3035億円、EBITDA2419億円、昨日の株式時価総額は1兆4688億円、長期有利子負債は5005億円ですから、EVは1兆9693億円。EV/EBITDA倍率、いわゆるEBITDAマルチプルは8.14倍。

サントリー、実は継続開示会社であり有報が見れます。
サントリーの売上高は1兆5129億円、EBITDA1185億円、統合比率が1 : 0.7 だとすると株式時価総額は1兆282億円。長期有利子負債は1900億円、EVは1兆2182億円でEBITDAマルチプルは10.2倍。うーん。

アサヒビールも見てみましょう。
売上高1兆4627億円。EBITDAは1418億円、株式時価総額は8332億円、長期有利子負債は1797億円。EVが1兆129億円。EVITDAマルチプル7.00倍。

3社の経常利益率を見てみましょう。キリン4.5%、サントリー5.2%、アサヒ6.6%。

最も昨年の数値なのですべて整合しているわけではありませんが。
感覚的な話になってしまいますが、この統合はサントリーに優位に進められたような気がしますが、どうでしょう?
サントリーは未上場とはいえ、継続開示会社なので未上場ディスカウントはほとんどないと考えられ、フェアバリューでEBITDAマルチ10.2倍は、キリンの8.14、アサヒの7倍を勘案すると出来過ぎのような気がします。どこかの証券会社は想定比率は1 : 0.6が適当であるとのコメントも出ており、1 : 0.6 だとEBITDAマルチが9倍となりますか。
まあ、すわりの良い比率になったと思います。それでも高いですが。

1 : 0.7であれば、サントリー創業者一族で33.4%を取得できるそうで、かなりそのあたりの思惑も見え隠れしていますかね。最もグローバルで戦うための統合にオーナーとしての主導権の比率が絡むのもどうかと思いますが、現実的にはこういうことなのでしょう。

M&Aはすべてに経済合理性があるとは限りません。むしろそうでないことの方が圧倒的で、お互いの思惑、プライドも絡むのが普通です。Daelの落とし、いわゆるクロージングに持っていくためにはヒトの気持ち、ココロに触れることが大事で、ここがアドバイザーの腕ということになるのでしょうね。

引き続き参加者募集中!  Hiroの投資銀行サロン