電子部品メーカー国内最大手のTDKが23 日、国内普通社債(SB)総額840億円の発行条件を決め、募集を行いました。。今は主流ですが、当時は先駆け的起債だった国内初の完全無担保債(1985年1月、100 億円)以来24年ぶりとなります。金融危機で国内社債市場は機能が低下していますが、投資家需要の強い優良企業として企業買収資金の借り換えに踏み切った形です。 


公益セクターの社債発行に限定されてきた社債市場で、実体経済の悪化をまともに受ける名門製造業の社債が順調に販売されたことで、後続案件に期待をつなげる起債となったようで、単にTDKにとどまらず、社債市場に大きな影響がある起債となったとの声が多かったようです。 


金利など変動性が激しい環境の中、発行体の業績動向などを踏まえ、投資家との会話を重ね、ていねいで慎重に需要を探った結果、実質的に初の起債ということもあり、中央の機関投資家から地方に至るまで幅広い投資家に販売できたということなのでしょう。 

資金使途は総額12億ユーロ(約1600億円)を投じた欧州電子部品の独エプコス買収資金(全額借り入れ)の一部を借り換えに充てます。 


製造業の社債では、昨年12月7日募集のソニー債(375億円)以来の起債で、発行額では昨年5月のエーザイ債(1200億円)、同3月起債のキリンホールディングス債(2000億円)に次ぐ規模の社債発行でした。 


同社はこれまで無借金経営を行ってきたが、独社買収で外部からの資金調達に踏み切ったという。同社の手元流動性は 08年9月末で1700億円あり、現在もこの水準を維持しています。 


対外評価としては、TDKの業績を考えると、信用力対比でスプレッドは厚みがある水準であり、プレッドや情報開示の姿勢が投資家に受け入れられた形であり、基準となる国債金利が低下していることから、発行コストも高くつくことにはならないようですかね。 


TDKが起債したのは、3年債230億円、5年債480億円、10年債130億円の3本。表面利率はそれぞれ、1.085%、1.413%、2.038%、発行価格は3本とも100円で決まりました。利回りの国債に対するスプレッド(金利上乗せ幅)は、それぞれ、+65bp、+74bp、+80bp。最近の業績悪化などを反映してスプレッドは開き気味でした。 


格付けは、格付投資情報センター(R&I)のAA-を取得します。 

同じ格付け(AA-:R&I)の社債発行は、昨年12月起債のソニー債が、3年債が+55bp、5年債が+60bp10年債が+68bp、昨年11月起債の新日本製鉄債では、4年債が+40bp10年債が+50bpの条件で決まっており、今回のTDK債では10bp以上拡大しています。 


TDKは今回の起債に先立つ今月8日に09年3月期の連結業績予想を下方修正しました。純損益は従来予想の250億円の黒字から一転、280億円の赤字となる見通し。赤字は世界的なIT(情報技術)不況の直撃を受けた02年3月期以来7年ぶりであり、これを受け、海外で2万5000人以上の人員削減や国外の生産拠点の統廃合を行予定です。



最近はCB含め、エクイティがらみのファイナンスはほとんどありません。周囲ののマーケット環境の悪化と、発行体の業績悪化が主たる理由です。それでも普通社債であれば、マーケット環境をあまり考えることなく、自社の格付で起債できるため、やり易いかと。

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