今回のJFE CBのdeal summaryは以下の通りです。


発行体名 ジェイ エフ イー ホールディングス 
証券分類 国内CB/第三者割当 

年限 5年 
発行額 3000億円  表面利率 1.853% 
発行価格 100.00  アップ率 80.00% 
転換価格 8530円  基準株価 4740円 
算定基準 2月27日株価終値 
決議日 2008年02月28日 
募集期間 03月17日 払込日 03月17日 
償還日 2013年07月23日 
行使請求期間 2008年03月17日~2013年07月22日 
利払日 01月22日 07月22日 
初回利払日 2008年07月22日 

予約権発行価格 0円 
総数 300個 
格付け A(R&I)A+(JCR)Baa1(ムーディーズ) 

■割当先 
みずほコーポレート銀行 1300億円 
三菱東京UFJ銀行 850億円 
三井住友銀行 850億円 

コール条項 ①2013年7月19日に100で可能。
②ムーディーズ、R&I、JCRのうち2社以上より、本社債の発行時点において想定されている資本性より低い旨の公表がなされた場合。
③M&Aなど組織再編に伴う場合、100または補填支払額のいずれか高い金額

予約権の取得条項 ①2013年3月18日~7月19日までの間に、その時点で残存する本予約権付社債の全部
または一部を交付財産と引換えに取得可能。 
代わり金の使途 国内生産基盤の更なる増強、設備資金・投融資、自己株式の取得資金など 
その他・備考 ■劣後債を対価とする新株予約権の取得条項など
①2013年7月22日に劣後債と引換えに取得可能。
②劣後債の利率:6ヵ月Libor+165bp
③償還日:2068年7月22日
④コール条項:(1) 2014年1月22日以降の各利払日に100で可能。
(2) ムーディーズ、R&I、JCRのうち2社以上より、本社債の発行時点において想定されている資本性より低い旨の公表がなされた場合。 


今回のJFEがlaunchしたCBの目的は

1.成長資金に確保
2.D/Eレシオの改善
3.希薄化への抑制
4.資本構成の再構築
です。

このCBは、株価が基準株価を約80%上回る転換価額を上回れば、引き受
け銀行は権利行使を行うことが可能となり、新株予約権は普通株に転換されます。
一方、権利行使が行われず、発行体が繰り上げ償還や新株予約権の強制取得を
行わない場合、このCBは年限55年の劣後債と交換され、資本性が高まることになります。

また時価を大幅に上回るプレミアム(アップ率80%)の転換価額を設定するとともに、
現金決済条項(その時の株価でJHEが現金で買い取ること)
を付けることで、株式の希薄化を極力抑制することが可能となります。

ハイブリッド型証券は、新日本製鉄が06年10月に日本企業として初めて
永久劣後型優先出資証券3000億円を邦銀3行に割り当てる方式で発行したこ
とがあり、この際、買収防衛策の効果があるとの指摘がありました。今回のCB
も同様のケースと考えられます。

今回のJFE債は、発行から約5年4カ月経過後の13年7月22日
に、満期が55年の劣後債(変動利回り/ステップアップ・普通株への転換権なし)
と交換され、残存するCBのすべてを強制的に取得する設計となっており、
実質的に償還期限のない株式と同様の性格を持っています。

このような性格から、このCBは、ムーディーズ、R&I、JCRから、
70%以上の資本性が認められる見通しであり、
負債と資本の中間の性格を持つハイブリッド債と位置づけられますかね。

現状必ずしも事業法人による劣後債市場が成熟しているとは限らない状況の中、
調達予定額を確実にする観点から、長年の取引関係がある主要取引銀行3行への
第三者割当としたことは今後に劣後債市場の課題となるのでしょうね。


ハイブリッド市場は、bank capital(BK発行)としては、もう10年以上ありますが、corporate hybrid(事業会社)はまだ3年程度です。今は市場規模として両方で50兆円くらい。でも殆ど海外です。

個人的にこの差は欧米と日本の金融技術の差と、リスクテイクの許容度、もっといえば国民性の差かなと。

今後ハイブリッド証券が第三者割当でなく、「公募」となるためには、アレンジャーの組成・商品設計能力の向上による商品のコモディティ化が必要だと思いますが、そうなったときにサブプライムみたいなことが起きるかもしれませんね。