日経の報道によれば、 シャープが2017年3月期の連結営業損益が400億円程度の黒字(前期は1619億円の赤字)になると計画していることが18日、分かったらしい。

 

シャープ3期ぶり営業黒字 今期計画 事業撤退が効果

http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20161019&ng=DGKKZO08523420Y6A011C1TI1000

 

シャープについては、前期末ギリギリまで鴻海との資本提携交渉が難航し、最終的に契約締結するも、中国での統合の審査が長引き、結果的に当初予定の3888億円が資本増強されたのは、この8月半ばだった。

 

現在鴻海はシャープ普通株式の66%を取得し、シャープは鴻海の傘下にて経営再建中である。

 

あくまで救うべきは個人であって、企業ではない。 ~産業革新機構が描いた国内企業の再編構想で思うこと。

http://lineblog.me/hiro_tanaka/archives/52006245.html

 

 

偶発債務を確認するのがM&Aの基本。鴻海・シャープ買収で思うこと。

http://lineblog.me/hiro_tanaka/archives/52007996.html

 

しかしまだ第三者割当増資が行われていないのも事実 ~ シャープ・鴻海、今後の論点整理。

http://lineblog.me/hiro_tanaka/archives/52012586.html

 

今期、債務超過が解消しない場合は「上場廃止」 未だ鴻海が出資完了していないもの事実~ シャープ3000億円赤字で思うこと。

http://lineblog.me/hiro_tanaka/archives/52014476.html

 

 

今期営業黒字になるとのことだが、前期までの数値を見てみたい。

 
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過去5期において、利益計上は1期のみである。

一方で、赤字期は営業・経常損失に比べ、当期純損失が圧倒的に大きいのは、減損処理が大きいためであり、事業の採算と見通しが甘く、実はかなり前から状況はかなり悪化していた。

 

セグメント毎の業績は以下の通りである。

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■コンシューマエレクトロニクス

テレビ、スマートフォン、スマートフォン、4Kレコーダー、電子辞書、電話ファックス。ロボット掃除機、ヘルシオ、プラズマクラスター加湿空気清浄機、ヘアスタイラー

 

■エネルギーソリューション

クラウド蓄電池システム、太陽電池モジュール等)

 

■ビジネスソリューション

デジタルフルカラー複合機、インフォメーションディスプレイ、電子レジスタ、業務用携帯端末等

 

■ディスプレイデバイス

液晶ディスプレイ、IGZO等

 

■電子デバイス

CMOSイメージセンサ、センサーモジュール等

デバイスビジネスが大きく悪化した。逆に利益が出ているのは、ビジネスソリューションのみであった。

一方で、減損等は営業外損益なので、事業判断をここで行うのは、難しいと思料。

 

鴻海のNo2である戴正呉(たいせいご)氏がシャープの社長となり、シャープの社員寮で生活しながら、先ずはコスト削減に手を付けたことが奏功したといって良い。

以下はIRで発表された構造改革の骨子である。

 

■経営資源の最適化

 

拠点

本社の堺事業所への移転

東京(芝浦)オフィスの一部幕張ビルへの一部移転

鴻海拠点の活用による海外拠点の集約

 

人員

グローバル(関係会社含む)での人員適正化

 

■再生を加速する責任 ある事業推進体制

 

事業

IoT、健康・環境事業の拡大を狙ったCEカンパニーの再編(5→6カンパニーへ)

各ビジネスユニットの収益責任の明確化

 

本社

機能・業務のビジネスユニットへの移管等による徹底したスリム化

本社配賦コストの見える化

 

■成果に報いる人事制度の確立

 

基本的処遇

クロージング後、早期に給与削減(管理職5%、一般社員2%)

黒字化の早期実現による賞与の回復

 

成果に報いる報酬制度

社員に魅力あるストックオプション制度の導入

 

職位に見合った処遇

役割等級制度の一般社員への導入

管理職降格制度導入

 

内容を見れば、人事制度など当然と思えるものもあるが、シャープという発行体は、業績見積もりも含めて、今まで当たり前のことを当たり前に行う風土がなかったと言える。

 

一方で、トップライン(売上)は2兆円を割り込み、最終損益は引き続き赤字ということなので、まだ減損や構造改革費用が計上されるものと思われ、液晶含めた今後の成長ドライバーの確立には時間がかかると思われる。

 

それでも、再生プロセスでは、最初の100日が大事であり(3日、3週間、3カ月とも言う)、ここでスモールサクセスを積み上げていくことが重要であるが、改革初年度で、先ずは営業利益を3年ぶりに計上出来たことの意味は大きく、引き続き予断は許さないものの、今後のシャープについて、一つの明るい兆しが出てきたことには間違いないだろう。

 

鴻海傘下でのシャープ再建に期待したい。


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